2008年度 総合科学部 自然システム学科 物質·環境コース 地学系サブコース 学部課程 — 3年(後期)

2008年度 総合科学部 自然システム学科 物質·環境コース 物理系サブコース 学部課程 — 3年(後期)

2008年度 総合科学部 自然システム学科 物質·環境コース 化学系サブコース 学部課程 — 3年(後期)

地球表層物質論

准教授・沼子 千弥

2単位

目的

地球表層の地殻,水圏,気圏には様々な物質的相互作用が存在する.地殻を構成する岩石,さらにその構成要素である鉱物は固体物質であるが,その形成段階では固相反応とともに固-液または固-気相互作用も働き,これらが競争的に進む複雑な条件の中で最も安定な鉱物種が選択的に形成されている.また,鉱物が形成された後も地球表層物質との相互作用はとぎれることなく進行し,ある種の平衡系が成り立っている.本講義では,地球という複雑な集合体の中に存在する純粋な天然の無機化合物である鉱物の定義,地球表層物質における相互作用(特に鉱物形成に関連する事象),鉱物の結晶構造とその特性との関わり,地球表層物質としての鉱物の形成要因と役割について,その基礎的な理解を促すようわかりやすく解説する.また,地球表層の物質循環に大きな影響を与えている生物活動と鉱物形成の関連についても地球科学的視点から論じる.

概要

鉱物をはじめとする地球表層物質と環境との相互作用

キーワード

鉱物,生体濃縮,生体鉱物,結晶構造,地球表層物質

注意

学部3年生の専門科目として開講

目標

1.天然の無機化合物である鉱物の定義とその性質を理解すること
2.鉱物形成に関わる化学的,物理的相互作用を理解すること
3.生物系と非生物系で行われる鉱物形成のそれぞれの特徴を理解すること

計画

1.地球表層物質の基本である鉱物の定義
2.地球表層物質における構成元素の分布状況
3.環境に存在する元素の固体化 -鉱物化と相図
4.鉱物形成に関わる反応(1) 酸·塩基反応とHSAB則
5.酸化還元,錯形成,沈殿反応と結合様式
6.最密充塡
7.固溶と鉱物の多形·同形
8.結晶構造と鉱物の特性
9.地球表層の物質循環における生命活動の影響(必須元素,欠乏症と中毒)
10.生物が行ってきた元素活用の戦略(無毒化,排出,積極的活用)
11.生体濃縮現象と生体鉱物化現象
12.蓄積元素の活用の場としての生物無機硬組織
13.結晶学の基礎(1)
14.結晶学の基礎(2)
15.結晶構造とX線回折(1)
16.結晶構造とX線回折(2)

評価

出席,演習への取り組み姿勢やレポート,試験の結果から総合的に判断して評価する.

再評価

原則として行わない.

教科書

教材あるいは参考書については,講義の中で紹介する.

連絡先

沼子(3202-2, 088-656-7265, numako@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日12時∼13時