2008年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [選択] 2年(後期)

生物物理化学1

Biophysical Chemistry 1

教授・松木 均

2単位

目的

化学平衡の取り扱い方および化学反応の動力学的な側面に関する講義を行い,それらの物理化学的な概念について修得させる.

概要

化学反応を物理化学的に理解するためには,平衡状態で成り立つ静的条件と,平衡状態までの反応速度や反応機構に関する動的条件の両方を検討する必要がある.本講義の前半部分では,化学平衡が成立するための条件を熱力学的に導出し,平衡定数の意味や平衡定数への熱力学変数の効果を解説する.後半部分では,化学反応が平衡状態に至るまでの過程を取り扱い,様々な化学反応に対する反応速度をそれら反応に対する微分方程式を解き,導出する.さらに特殊な反応の反応速度についても説明する.

キーワード

化学平衡,平衡定数,反応速度,反応速度式,速度定数

要件

物理化学1,2の履修を前提として講義する.

注意

講義中に理解度確認のため2回の中間試験を行うので,予習と復習をしっかり行うこと.

目標

1.化学平衡の条件と平衡定数の意味について熱力学的に理解する.
2.反応速度の取り扱いを理解し,重要な反応速度式の導出ができる.
3.生物物理化学が関与する生命倫理的問題を理解する.

計画

1.化学親和力(1)化学平衡の条件,標準Gibbs自由エネルギー変化
2.化学親和力(2)理想気体反応の平衡,濃度単位と平衡定数
3.化学親和力(3)平衡定数の圧変化及び温度変化,平衡定数の計算
4.化学親和力(4)非理想系の平衡(フガシチーと活量係数)
5.化学反応速度論(1)化学変化の速度,測定法,中間試験1(到達目標1の一部評価)
6.化学反応速度論(2)反応の次数と分子数,一次反応速度式
7.化学反応速度論(3)二次反応速度式,反応次数の決定
8.化学反応速度論(4)正逆両方向反応,詳細釣り合いの原理
9.化学反応速度論(5)速度定数と平衡定数,連続および平行反応
10.化学反応速度論(6)化学緩和,反応速度に及ぼす温度の影響
11.化学反応速度論(7)活性複合体理論序論,中間試験2(到達目標2の一部評価)
12.化学反応速度論(8)活性複合体理論とその熱力学
13.化学反応速度論(9)単分子気体反応,連鎖反応
14.化学反応速度論(10)爆発反応,酵素反応,酵素反応の速度
15.化学反応速度論(11)酵素阻害,生物物理化学の生命倫理的問題
16.期末試験(到達目標全ての一部評価)

評価

出席率80%以上で,到達目標3項目が各々60%以上達成されている場合をもって合格とする.達成度は中間試験(50%),期末試験(50%)で評価する(出席点は加えない).

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(A),(C),(D)に対応する.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

W. J. ムーア著(藤代亮一訳)「物理化学(上)8,9章」東京化学同人

参考資料

R. A. アルバーティ著/妹尾 学·黒田晴雄訳「物理化学(上)および(下)」東京化学同人

慶井富長著「反応速度論 第2版」東京化学同人

連絡先

松木(化生棟607, 088-656-7513, matsuki@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日 16:20-17:50

備考

原則として再試験は実施しない.