2008年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [必修] 2年(前期)

物理化学2

Physical Chemistry 2

教授・松木 均

2単位

目的

物質の状態に関する重要な物理化学の基礎的事項,相平衡と溶液について化学熱力学を中心にして講義を行い,それらの基本的な概念を学習する.

概要

閉鎖系の熱力学関係式を開放系に拡張し,重要な熱力学量である化学ポテンシャルについて講述する.さらに化学ポテンシャルの平衡式を溶液系に適用し,物理化学諸量を導出する.本講義の前半部分では,一成分(純物質)系の状態図並びに相平衡を説明し,相平衡の条件や相平衡で成立する熱力学関係式を導出する.後半部分では,多成分混合物の定義やその取り扱い方を論じ,具体例として二成分混合溶液を取り上げる.二成分溶液の相平衡(気体-液体,固体-液体,液体-液体)を熱力学的観点から講述する.

キーワード

化学ポテンシャル,相平衡,部分モル量,相図,束一的性質

先行科目

物理化学1

要件

物理化学1の履修を前提として講義する.

注意

講義中に理解度確認のため2回の中間試験を行うので,予習と復習をしっかり行うこと.

目標

1.化学ポテンシャルの概念と一成分(純物質)系の相平衡を理解する.
2.多成分系の熱力学的取り扱いおよび溶液を中心とした二成分溶液の相平衡を理解する.

計画

1.状態の変化(1)相,成分,自由度,化学熱力学の復習
2.状態の変化(2)平衡の一般理論と化学ポテンシャル
3.状態の変化(3)相平衡の条件,相律
4.状態の変化(4)一成分状態図,Clapeyron-Clausiusの式
5.溶液(1)組成,部分モル量,Gibbs-Duhemの式
6.溶液(2)部分モル量の計算,中間試験1(到達目標1の一部評価)
7.溶液(3)理想溶液の定義とその熱力学
8.溶液(4)二成分系,RaoultおよびHenryの法則
9.溶液(5)二成分系の溶液-蒸気平衡,相図
10.溶液(6)二成分系の溶液-固体平衡,溶解度曲線
11.溶液(7)凝固点降下,中間試験2(到達目標2の一部評価)
12.溶液(8)浸透圧と蒸気圧,束一性
13.溶液(9)理想溶液からのずれ,共沸溶液
14.溶液(10)液-液平衡,非理想溶液の熱力学
15.溶液(11)調和と非調和融点化合物,固溶体
16.期末試験(到達目標全ての一部評価)

評価

出席率80%以上で,到達目標2項目が各々60%以上達成されている場合をもって合格とする.達成度は中間試験(50%),期末試験(50%)で評価する(出席点は加えない).

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(C),(D)に対応する.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

W. J. ムーア著(藤代亮一訳)「物理化学(上)6,7章」東京化学同人

参考資料

R. A. アルバーティ著/妹尾 学·黒田晴雄訳「物理化学(上)」東京化学同人

D.エベレット著/玉虫伶太·佐藤弦訳「入門化学熱力学第2版」東京化学同人

連絡先

松木(化生棟607, 088-656-7513, matsuki@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日 16:20-17:50