2008年度 工学部 電気電子工学科 夜間主コース — [選択] 2年(前期)

電気磁気学2

Electromagnetic Theory (II)

助教・川上 烈生

2単位

目的

本講義は電気電子工学分野の基礎的学問であり,ベクトル解析などの数学的手法を利用して,電流と磁界とを結ぶ基本現象と基本法則を理解する.この基本法則を用いて,工学的設計上必要となる,磁界,電磁力,誘導起電力,インダクタンスの計算方法を修得する.また,工学的実用上重要となる,電流と磁界の相互作用が引き起こす導体に作用する様々な効果について理解を深める. 加えて変位電流について理解を深め,電磁波の基礎的概念を修得する.

概要

電磁気現象は,家庭用および産業用電気機器など多岐にわたり応用されており,電磁気現象の活用なくして現在の社会生活は成り立たない.この電磁気現象をうまく活用するためには,現象そのものをよく理解する必要がある.本講義では,まず最初に電界との比較により磁界の理解を深め,電流と磁界とを結ぶ基本現象と基本法則について解説する.それから,この基本法則を用いて,磁界,電磁力,誘導起電力,インダクタンスの計算方法について演習問題により解説する.また,その基礎的知見を基に,導体に作用する様々な効果について解説する.最後に,変位電流の基本的概念を導入し,電磁波の伝播現象について解説する.

キーワード

電流,磁界,磁性体,電磁誘導,インダクタンス

先行科目

電気磁気学1

要件

「電気磁気学1」を履修していることが望ましい.

注意

2∼5回の講義の後,理解度を深めるため3回の小試験を行う.電磁気学の基礎的概念を理解する上で,この科目は欠かせない.理解不足と思われる場合,積極的に質問すること.

目標

1.磁界を理解し,アンペア周回積分則,ビオ・サバールの法則,ベクトルポテンシャルを利用して,電流により生じる磁界と電磁力を計算できる.
2.磁性体の磁化現象を理解し,磁気回路を利用して磁界を計算できる.
3.電磁誘導現象とインダクタンスを理解し,誘導起電力や自己および相互インダクタンスを計算できる.
4.電磁誘導現象を利用して,導体に作用する表皮効果やうず電流現象を理解できる.また,変位電流を利用して,電磁波の伝播現象を理解できる.

計画

1.磁界とは?(電界との比較)
2.鎖交とアンペア周回積分則による磁界の導出
3.ビオ・サバールの法則による磁界の導出
4.ベクトルポテンシャルによる磁界の導出
5.電磁力(磁界中の電流と運動電子に働く力)
6.小試験(到達目標1の評価)
7.磁性体の磁化と内部磁界
8.強磁性体の性質(磁化曲線とヒステリシス現象)
9.磁性体の磁気回路による磁界の導出
10.小試験(到達目標2の評価)
11.電磁誘導則と誘導起電力(フレミングの右手法則
12.自己インダクタンスと相互インダクタンス
13.小試験(到達目標3の評価)
14.導体における表皮効果とうず電流
15.変位電流と電磁波
16.定期試験(到達目標1∼4の総合的評価)

評価

到達目標の4項目が達成されているかを試験(小試験と定期試験)90%および平常点(出席状況とレポート)10%で評価し,合計60%以上あれば合格とする.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

小塚洋司「電気磁気学」森北出版

参考資料

山口昌一郎「電磁気学例題演習<I>」オーム社

山口昌一郎「電磁気学例題演習<II>」オーム社

連絡先

川上(E棟2階南 A-10, 088-656-7441, retsuo@ee.tokushima-u.ac(no-spam).jp)

備考

電磁気現象をイメージできない学生は,大伴洋祐「電磁気学」オーム社や福田務,坂本篤「電気磁気」オーム社を熟読することを勧める.