2008年度 先端技術科学教育部 博士前期課程 環境関連技術コース②

生態系の保全 (M)

Ecosystem Conservation (M)

教授・鎌田 磨人

2単位

目的

健全な社会基盤を整備する上で,生態系を保全することがなぜ重要なのか,およびそれをどのような考えのもとで行っていくのかについて,基礎的な概念を身につける.

概要

生態系と人間の社会との関係をとらえながら,社会の発展によってもたらされた生物の多様性や生態系の危機的状況について解説する.そして,それらの問題の解決し,持続可能な社会を構築するにあたって技術者が果たしていくべき責任について考える.

キーワード

生態系の価値,生態系保全,自然再生,ビオトープ

先行科目

環境を考える

要件

なし

注意

関連授業科目として,「環境生態学」,「緑のデザイン」,「生態系修復論(夜間主)」の受講を推奨する.

目標

1.持続可能な社会の創造を担う技術者を目指す者として,従来型の社会発展の論理によってもたらされた生態系や生物の多様性の危機的現状を認識し,健全な生態系を保全·修復していくことの必要性を自覚している.

計画

1.ガイダンス
2.「環境」と「主体」 / (1)環境とは,(2)生物多様性とは,(3)生態系とは
3.生物の多様性と連続性 / (1)地球上の生物種,(2)生物の分類と歴史,(3)何を守るべきか
4.生態系の構造と機能1 / (1)生態系の定義,(2)生態系の構造,(3)物質循環
5.生態系の構造と機能2 / (1)生態系サービス(公益的機能),(2)生態系の安定性と生物多様性
6.生態系の破壊と生物多様性の減少1 / (1)レッドデータブック,(2)植物の現状,(3)絶滅要因
7.絶滅のプロセス1 / (1)種の存続単位としての「個体群」,(2)個体群の維持と生活史
8.絶滅のプロセス2 / (1)個体群の成長
9.絶滅のプロセス3 / (1)個体群の衰退,(2)個体群の衰退要因
10.生態系の分布と変化 / (1)徳島県の森林分布,(2)遷移
11.撹乱と生物多様性の維持 / (1)撹乱,(2)撹乱と森林生態系,(3)撹乱と河川生態系
12.生態系の再生 / (1)復元,修復,創出,保全,(2)再生目標
13.生態系の管理1 / (1)生態系管理とは,(2)生態系管理に要求される要素
14.生態系の管理2 / (1)順応的管理,(2)合意形成
15.期末試験
16.試験の解説とふりかえり

評価

到達目標の達成度は期末試験の評点により評価し,評点が60%以上を当目標のクリア条件とする.

対象学生

他学科,他学部学生も履修可能

教科書

鷲谷いづみ「生物保全の生態学」共立出版

参考資料

鷲谷いづみ·矢原徹一「保全生態学入門」文一総合出版

プリマック, R.B.·小堀洋美「保全生物学のすすめ」文一総合出版

Pullin S (井田秀行ら訳) 「保全生物学,生物多様性のための科学と実践」丸善

連絡先

鎌田(A306, 088-656-9134, kamada@ce.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 年度ごとに学科の掲示を参照すること.