2008年度 人間·自然環境研究科 自然環境専攻 修士課程 選択科目 物質科学 — 1年(前期), 2年(前期)

地球環境変遷学

Historical Geology

教授・石田 啓祐

2単位

目的

地球環境の変遷に関する情報は,地層に豊富に残されている.本講義では,プレート収束域にある西南日本やアジア東縁の中·古生界を中心に,層序や堆積相,古生物相の解析に基づいて,古海域と陸域の相互作用や環境変遷を学ぶ.

概要

自然環境基礎論Iでの概説をふまえて,最も代表的で身近なフィールドのひとつである四国の地質を例に,古生代∼第三紀付加体と関連堆積相から得られる情報を,生層序地史·微化石地質学的な視点から論じる.また極東ロシア,韓国,中国,タイなどアジア東南縁やアルプスと西南日本の地質·環境履歴を比較し,論考する.

キーワード

中·古生代堆積相,フォーナ,環境変遷,西南日本,アジア東南縁

注意

隔年(奇数年)開講,平成19(2007)年度は開講します.

目標

1.四国を例に,付加体と関連堆積相に特徴的な岩相や環境·年代指標となる古生物が説明でき,西南日本やアジア関連地域の堆積相との比較が理解できる.

計画

1.環境変遷と層序(プレート運動と海洋プレート層序,海水準変動とシーケンス層序)
2.付加体関連の岩相(付加体チャート-砕屑岩相,付加体メランジュ相,付加体粗粒岩相,前弧海盆堆積相,陸棚相,非海成堆積相など)
3.西南日本の地帯区分と層序の概要
4.領家帯白亜紀前弧海盆堆積相(和泉層群の岩相と生層序)
5.三波川-御荷鉾帯(原岩と微化石年代)
6.黒瀬川帯北部地帯(ペルム紀付加体と白亜系デルタ-陸棚相の層序とフォーナ)
7.黒瀬川帯南部地帯(ペルム紀付加体と中生代陸棚-前弧海盆堆積相の層序とフォーナ)
8.秩父累帯北帯(ジュラ紀付加体の岩相·層序と微化石年代)
9.秩父累帯南帯(ジュラ紀-白亜紀付加体·前弧海盆堆積相の層序·微化石フォーナ)
10.四万十累帯(白亜紀-第三紀付加体·前弧海盆堆積相と微化石年代)
11.フレンチアルプスのジュラ-下部白亜系(岩相·層序とフォーナ)
12.韓半島南部の非海成白亜系(慶尚層群の堆積相とフォーナ)
13.アムール川下流域の中生代付加体と前弧海盆堆積相(層序とフォーナ)
14.東南アジア衝突テクトニクス帯の浅海相ジュラ系と陸成白亜系
15.中国揚子地塊南方の古生代付加体と微化石フォーナ
16.付加·衝突体削剥イベントの微化石による解析

評価

講義への取り組み姿勢(質問への対応,出席状況等含む)と,レポートを総合的に判断して評価する.

教科書

日本の地質編集委員会編,日本の地質「増補版」,共立出版

参考資料

四国地方土木地質図編纂委員会編著,四国地方土木地質図および解説書,内外地図

宮城秋穂編,岩波地球科学選書「世界の地質」,岩波書店

その他の参考書は講義の中で紹介する.

連絡先

石田(総合科学部3号館2階南2S04, 088-656-7243, ishidak@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月曜日 12時∼13時

備考

隔年(奇数年)開講,平成20年度(2008年度)は開講せず.