2009年度 工学部 電気電子工学科 昼間コース — [選択必修(D)] 3年(前期)

電子物性工学

Solid State Physics

准教授・直井 美貴

2単位

目的

電子物性工学とは,物質の諸性質(電気的·誘電的·磁気的性質)を,物質を構成している原子·分子·電子の振る舞いを基礎として微視的立場から考察するものであり,デバイス材料の製造,電子デバイスの設計,デバイス特性改善の基礎となる学問領域である.本科目では,物質の微視的性質を学修し,また巨視的性質との対応を理解することを目的とする.

概要

トランジスタや集積回路(IC)をはじめとする電子デバイスの動作原理を理解するためには,そのデバイスを構成する物質内の電子等の微視的振る舞いを理解することが不可欠である.この理解があって新デバイスの設計がはじめて可能となる.本講義では,実際のデバイス動作を常に考えながら,物質の誘電的·電気的·磁気的性質についての講義を行う.また,講義内容を理解するための演習を講義中に同時に行う.

キーワード

微視的性質,電気物性,光物性,誘電性,磁性

要件

本科目開始以前の必修科目を受講し,かつ十分理解していること.

注意

講義と共に,その内容に関する課題が授業内での小テストあるいはレポートとして与えられる.小テストおよびレポート提出内容は平常点算出の際の資料となる.したがって,講義に欠席した場合,単位取得は困難となる.

目標

1.物質の性質を微視的立場から理解できる.(授業計画1∼15および最終試験)
2.物質の性質を,巨視的·微視的観点両方から相互に関連づけて理解できる.(授業計画1∼15および最終試験)
3.物質量の単位·次元を把握できる.(授業計画1∼15および最終試験)
4.物質の示す誘電的·電気的·磁気的·光学的性質などの基礎物理現象が理解できる.(授業計画1∼15および最終試験)

計画

1.オリエンテーション(授業概要の説明,電子物性工学とは)
2.物質の構造・化学結合(教科書・pp1-13)
3.原子密度,格子定数(pp.1-13)
4.結晶構造解析,結晶成長(pp.1-13)
5.格子振動(pp.14-22)
6.固体の熱的性質(pp.23-30)
7.オームの法則(pp.31-37)
8.電子伝導モデル(pp.31-37)
9.光吸収,発光現象(pp.90-100)
10.反射,屈折,透過(pp.90-100)
11.誘電率(pp.101-102)
12.電気分極(pp.103-108)
13.誘電分散,誘電損(pp.110-112)
14.磁性の原因,磁性体(pp.113-124)
15.超伝導現象(pp.125-137)
16.最終試験

評価

到達目標が達成されているかを試験80%,平常点20%(レポート,小テスト等)として評価し,全体で60%以上で合格とする.

JABEE関連

(D)専門基礎20%,(E)専門分野(物性デバイス)80%

対象学生

他学科学生も履修可能

教科書

松澤·高橋·斉藤著「電子物性」森北出版

参考資料

青木昌治著「電子物性工学」コロナ社

佐藤·越田著「応用電子物性工学」コロナ社

浜口智尋著「電子物性入門」丸善

連絡先

直井(E棟2階南 A-4, 088-656-7447, naoi@ee.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日:17:00∼18:00