2009年度 歯学部 歯学科 学部課程 — 2年(後期)

生理学A・B 講義

Physiology

教授・細井 和雄, 講師・赤松 徹也, 助教・姚 陳娟, 助教・長谷川 敬展

2単位

形態

講義

授業目的

正常な内分泌系の働きを学び,内分泌ホルモンの分泌異常がもたらす疾患についても理解を深める.神経の興奮が筋組織に伝わり,筋収縮をもたらすまでの一連のメカニズムを理解する.

授業概要

細胞の基本構造を理解し内分泌ホルモンの生合成・分泌について学ぶ.内分泌ホルモンの産生臓器,生理作用,機能亢進と機能不全,分泌調節,輸送と代謝等を学ぶ.生殖器系の働きについて学ぶ.神経や筋組織(興奮性組織)における興奮の発生とその伝達機構,刺激に応答して生じる筋収縮の機構,神経–筋ならびに神経–神経接合部(シナプス)における刺激伝達の機構について学ぶ.

授業テーマ

内分泌系の働き,および神経・筋の生理学の基本

キーワード

細胞生理,内分泌系,生殖,神経系,筋収縮,シナプス伝達

授業方法

板書,および資料提示装置を利用しながら講義を行う.必要に応じて補助教材を配付することもある.1,17-30,および2-16の各講義はそれぞれ月曜日,および木曜日に並進して行う.

授業場所

第2講義室

注意事項

試験は学生便覧の歯学部規則を満たしている者に対して行う.

到達目標(<>はコアカリ対応)

1.人体機能の概略と生体の制御系について説明できる.
2.遺伝子(染色体)の構造とセントラルドグマを説明できる.<D-1-2)-①>
3.転写と転写調節の機序を説明できる.<D-1-2)-③>
4.翻訳の機序を説明できる.<D-1-2)-④>
5.細胞膜,核,および細胞内小器官の構造と機能を説明できる.<D-1-3)-①>
6.細胞の分泌と吸収機構を説明できる.<D-1-3)-③>
7.腺を分泌物の性状,形態,および分泌機構に基づいて分類できる.<D-2-3)-(1)組織(上皮組織,支持組織,筋組織)-③>
8.受容体を介するホルモン・成長因子・サイトカインによる細胞間の情報伝達機構を概説できる.<D-1-4)-③>
9.細胞内シグナル伝達機構を概説できる.<D-1-4)-④>
10.各内分泌器官の構造と機能,およびホルモンを説明できる(ホルモンの特徴と機能,内分泌系と神経系との機能相関を含む).<D-2-3)-(8)内分泌系-①>
11.膵臓の外分泌腺と内分泌腺の特徴を説明できる.<D-2-3)-(6)消化器系-③>
12.軟骨内骨化と膜内骨化の機序と成長様式を説明できる.<D-2-3)-(1)組織(上皮組織,支持組織,筋組織)-⑥>
13.男性生殖器,女性生殖器の構造と機能を説明できる.<D-2-3)-(10)生殖器系-①>
14.ニューロンとグリアの構造と機能を説明できる.<D-2-3)-(5)神経系-⑦>
15.神経の活動電位の発生とその伝播の機序を説明できる.<D-2-3)-(5)神経系-⑧>
16.筋組織の構造と機能を説明できる.<D-2-3)-(1)組織(上皮組織,支持組織,筋組織)-⑧>
17.骨格筋の構造と機能を説明できる(収縮の特徴,および筋収縮の機序を含む).<D-2-3)-(2)運動器系-④>
18.シナプスにおける興奮伝達を概説できる.<D-2-3)-(5)神経系-⑨>
19.神経伝達物質の種類と機能を説明できる.<D-2-3)-(5)神経系-⑩>
20.末梢神経系の機能分類(体性神経系と自律神経系)を説明できる.<D-2-3)-(5)神経系-②>
21.交感神経系と副交感神経系の構造と機能を説明できる.<D-2-3)-(5)神経系-③>

授業計画

大項目中項目内容担当到達目標
1.序論
生理学序論
細井1
2.細胞生理細胞の基本構造
細胞内小器官,遺伝子情報
赤松2-5
3. 〃分泌過程の細胞生理
蛋白質の生合成,分泌の生理
5-7
4.内分泌内分泌学序論
ホルモンと受容体,情報伝達系
8, 9
5-6. 〃視床下部・下垂体
視床下部・下垂体系,下垂体ホルモンと視床下部ホルモン,成長ホルモン
10
7. 〃甲状腺
甲状腺ホルモンの生成,代謝,作用と分泌調節
長谷川
8-9. 〃膵臓
インスリン・グルカゴンの作用と分泌調節,血糖調節,糖尿病
10, 11
10-11. 〃副腎
副腎髄質ホルモンとストレス説,皮質ホルモンによる糖質および電解質の代謝調節,分泌調節
10
12-13. 〃カルシウム代謝の内分泌性制御
骨の生理学,カルシトニン,PTH,ビタミンD3の作用,骨の病気
赤松10, 12
14-16.生殖性腺
生殖腺,精巣,卵巣の働きと調節,妊娠と分娩
10, 13
17.細胞の興奮発生と興奮伝導刺激と興奮
興奮性組織,興奮の発生とその性質,静止膜電位,活動電位
細井1, 14
18. 〃膜電位
静止膜電位,活動電位
1, 15
19. 〃興奮発生の機序
活動電位と膜電流,電位依存性イオンチャネルの構造と機能
20. 〃興奮伝導
興奮の三原則,伝導の機序,跳躍伝導
21.骨格筋の収縮骨格筋の種類と構造,筋線維の構造
骨格筋の種類と構造,筋線維の構造
16, 17
22. 〃筋収縮,興奮収縮関連
単収縮,強縮,筋線維膜における活動電位発生から収縮までの機構
細井
23. 〃筋収縮力学,筋のエネルギー発生
アクトミオシンの構造と滑走説による筋収縮の分子モデル,熱産生,ATPの分解と再合成,収縮のエネルギー源
24.シナプス伝達神経伝達
神経筋接合部(終板)の構造,骨格筋および平滑筋における神経筋伝達
18
25. 〃中枢神経系のシナプス伝達
興奮性シナプス後電位(EPSP),抑制性シナプス後電位(IPSP),シナプス前抑制,反回抑制
26. 〃神経伝達物質
神経伝達物質の生成と放出,神経伝達物質とその受容体
18, 19
27-28. 〃中枢のシナプスによる興奮伝達の統合,シナプス伝達の可塑性
シナプス電位の加重,ニューロン間のシナプス結合
18
29.自律神経系自律神経系の構成と作用
交感神経系,副交感神経系,内蔵求心性線維,自律神経系の作用
20, 21
30. 〃自律神経系の受容体
交感神経系および副交感神経系の伝達物質と受容体,その他の伝達物質と受容体
19

成績評価の方法

評価は筆記試験により行う.試験は2年次後期の試験期間中に実施する.100点満点で60点以上のものを合格とする.

再試験

一度のみ行う.ただし,本試験の点数が著しく低い場合は再試験を行わないこともある.

教科書,プリント,参考書

教科書:生理学テキスト,第5版,文光堂,2007

参考書:ギャノング生理学,原書22版,丸善,2006

参考書:新生理学,第4版,文光堂,2003

参考書:オックスフォード生理学,第2版,丸善,2005

連絡先

細井(088-633-7323, hosoi@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (木 16:40-17:40/6F 口腔分子生理学・教授室)
赤松(口腔分子生理学 第2研究室, 088-633-7324, akamatsu@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (金17:00-18:00/6F 口腔分子生理学・第2研究室)
姚(088-633-7324, yao@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (木16:30-17:30/6F 口腔分子生理学・第2研究室)
長谷川(口腔分子生理学 第2研究室, 088-633-7324, thase@dent.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (水16:40-17:40/6F 口腔分子生理学・第2研究室)