2009年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 文化情報サブコース 学部課程 — 2年(前期)

2009年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 哲学·思想サブコース 学部課程 — 2年(前期)

2009年度 総合科学部 人間社会学科 国際文化コース 歴史·社会サブコース 学部課程 — 2年(前期)

ヨーロッパ社会研究I

教授・佐久間 亮

2単位

目的

「ヨーロッパ歴史·社会論I 」をうけて,19世紀以降現代までのイギリスの歴史を,いわゆるグローバル・ヒストリの中に位置づけて論じる.イギリスの歴史は第二次世界大戦以降植民地を喪失するまで帝国の歴史であり,その存在は現代に至るまで世界の各地に影響を及ぼし続けている.イギリス国内についても,イングランド人,スコットランド人,ウェールズ人がそれぞれの文化的差異を含みながらも,イギリス人というアイデンティティ(ブリティッシュネス)へと統合されてきたのは帝国の存在があったためである.しかし,第二次大戦後はイギリス社会は帝国を喪失し,同時にカリブ系,インド·パキスタン系,さらに中国系移民が流入して,さらに複雑化したのだ.本講義では現代に至るまでのイギリス社会について説明するとともに,EU統合という歴史的趨勢の中で,イギリスがどこへ向かおうとしているのか,社会·文化論の観点から見通しを得たいともおもう.

概要

近現代イギリス史,社会·文化研究入門

キーワード

ナショナルアイデンティティ,文化多元主義,伝統の創造,文化帝国主義,ディボルーション

注意

前期の 「ヨーロッパの歴史と社会I 」と合わせて受講することを希望する.なお,視覚的印象は,テーマを理解する上で欠かせない要素である.授業中にもしばしばビデオを利用するが,以下に参考となる映画,(ビデオ化され入手しやすいもの)をあげておく.予め観ておくことが望ましい.授業中にも言及されるだろう.『オスカー・ワイルド』Wilde (1997) ,『インドへの道』A Passage To India(1984),『遠い夜明け』Cry Freedom)は,1987,『父の祈りを』In the Name of Father (1993)

目標

1.·現代イギリス社会と文化の歴史的なりたち,多様性,流動性を理解すること
2.·より一般的に,歴史的パースペクティブから現代の事象を理解する重要性を体感すること

計画

1.財政軍事国家イギリスの誕生
2.ヴィクトリア時代の社会と文化(1)-「ジェントルマンの理想」の変容-
3.ヴィクトリア時代の社会と文化(2)-男らしさ,女らしさの再定義-
4.ヴィクトリア時代の社会と文化(3)-探検,ボーイスカウト,ビッグゲームシューティング-
5.世紀転換期のイギリス帝国(1)-パクス・ブリタニカとインド-
6.世紀転換期のイギリス帝国(2)-アフリカン・スクランブル-
7.世紀転換期のイギリス帝国(3)-パレスチナ問題の今・昔-
8.帝国の喪失と多文化社会イギリス(1)-現代アフリカの苦悩その1-
9.帝国の喪失と多文化社会イギリス(2)-現代アフリカの苦悩その2-
10.帝国の喪失と多文化社会イギリス(3)-ウェールズ人の民族意識-
11.帝国の喪失と多文化社会イギリス(4)-ブリティッシュネスの行方-
12.ブレア後のイギリスの行方(1)-階級社会の解体?-
13.ブレア後のイギリスの行方(2)-ヨーロッパ回帰か大西洋同盟か-
14.ブレア後のイギリスの行方(3)-EUとディボルーション-
15.総括授業

評価

期末試験の結果によって評価をおこなう.

再評価

行わない

教科書

教科書は使用せず,授業中に配布するプリントを中心に講義をすすめる.

連絡先

佐久間(2327, 088-656-7152, sakuma@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火曜12時∼13時

備考

隔年開講.