ヨーロッパ歴史·社会論I
教授・佐久間 亮
2単位
目的
この講義は,「ヨーロッパ社会論I 」とセットで,イギリス社会と文化の特徴とその歴史的形成について論じるものである.縦糸としての歴史的背景,横糸としてのイギリス社会の多様性という立体的なパースペクティブをもつことではじめて,現代のイギリスをよりよく理解できることを示そうとおもう.この講義は縦糸としての18世紀までの歴史的背景を説明する場であるが,その中でもとくに重視するのは,16世紀以降のイギリス近代史そのものが世界的な帝国の形成とその衰退の歴史であったということである.ブリテン島という島国の歴史としてのみこれを眺めていたのでは,現代のイギリスの個性と多様性とを理解することは永久に不可能である.
概要
異文化交流からみたイギリス近代史論
キーワード
文化多元社会,ナショナルアイデンティティ,文化衝突,文化統合,大英帝国
関連科目
注意
後期のヨーロッパ社会論I と合わせて受講することを希望する.なお,視覚的印象は,テーマを理解する上で欠かせない要素である.授業中にもしばしばビデオを利用するが,以下に参考となる映画(ビデオ化され入手しやすいもの)をあげておく.予め観ておくことが望ましい.授業中にも言及されるだろう.『エリザベス』Elizabeth(1998), 『恋に落ちたシェイクスピア』Shakespere in Love (1998), TVシリーズ『高慢と偏見』Pride and Prejudice (1995), 『マイ·フェア·レディ』My Fair Lady(1964)
目標
1. | ·現代のイギリス社会の歴史的形成のプロセスと理解すること |
2. | ·より一般的に,歴史的パースペクティブから現代の事象を理解する重要性を体感すること |
計画
1. | 現在のイギリスを理解するために(1)-ヨーロッパ大陸からの異民族の侵入- |
2. | 現在のイギリスを理解するために(2)-アンジュー帝国から百年戦争へ- |
3. | 現在のイギリスを理解するために(3)-帝国形成とその後- |
4. | 二人のエリザベス(1)-イギリス宗教改革のインパクト- |
5. | 二人のエリザベス(2)-ブラッディ・メアリと宗教改革の浸透- |
6. | 二人のエリザベス(3)-ロンドンの膨張と生態的危機- |
7. | 二人のエリザベス(4)-転換点としての16世紀- |
8. | イギリス料理はなぜ不味い?(1)-「ピューリタン革命」論の再検討- |
9. | イギリス料理はなぜ不味い?(2)-ピューリタンと民衆文化- |
10. | イギリス料理はなぜ不味い?(3)-共和制という名の恐怖政治- |
11. | イギリス料理はなぜ不味い?(4)-17世紀の文化衝突- |
12. | イギリス人になり損なった人々(1)-「ピューリタン革命」とアイルランド- |
13. | イギリス人になり損なった人々(2)-名誉革命とアイルランドの運命- |
14. | イギリス人になり損なった人々(3)-スコットランド人は統合されたのか?- |
15. | 総括授業 |
評価
期末試験の結果によって評価をおこなう.
再評価
行わない
教科書
教科書は使用せず,授業中に配布するプリントを中心に講義をすすめる.
連絡先
- オフィスアワー: 火曜12時∼13時