2009年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年(前期)

地域調査法DI

准教授・矢部 拓也

2単位

目的

この授業では地域社会とその変容を調査·分析するための多様な理論,視角,手法について議論することを目的とする.社会調査に関しての基礎的な方法論の習得のためのテキストの精読と,適宜,地域社会学,都市社会学的視点からの実証的な研究に関する文献を取り上げることで,実際の調査に必要な知識と社会学的想像力を身につけることを目指す.

概要

社会調査に関する方法論的文献購読

キーワード

社会調査,アンケート調査

注意

2009年度は開講しません.地域調査法DI·IIでは調査の理論と技法を,地域調査実習DI·IIでは実践と応用を学ぶので,同時受講を前提とする.機器の台数や実習室の制約から受講生を制限する場合がある.授業は1年間で全体の計画を実行するので,通年での受講を望みます.

目標

1.地域社会が抱える諸問題に対する理解を深めると共に,先行研究を検討しつつ,地域調査における分析枠組み,仮説の設定を行うことが出来るようになる.
2.地域調査実習DI·IIでは,長野市を対象とした郵送調査のデータ分析を行う予定である.これらの分析を行えるようになるために,本授業では,社会調査法のテキストを講読してゆく.

計画

1.どのような社会調査をしたいのか:「社会調査の歴史」「社会調査の種類」「社会調査の方法」「社会調査の目的」について説明する
2.社会調査をはじめる前に:「図書館の活用法」「文献検索法」「統計書の活用」「知的生産技術」について説明する
3.社会調査で何がわかるか:「社会学における理論」「社会学における検証」「社会調査の限界」について説明する.
4.人間の探求活動と科学:「真実探求への道」「社会科学の基礎」「社会調査における多様なアプローチ」「社会調査の倫理」について説明する
5.理論と社会調査:「社会科学のパラダイム」「演繹法と帰納法」「演繹法による理論構築」「帰納法による理論構築」「理論と調査のつながり」について概説する
6.社会調査における因果関係:「決定論と社会科学」「個性記述的モデルと法則定立的モデルにおける因果関係」「因果関係の基準」「間違った因果関係の推測」「変数の測定方法と相関関係のつながり」について概説する.
7.概念化,操作化,および測定:「概念化」「記述的および説明的研究における定義」「操作化」「測定の質を評価するための基準」について説明する.
8.指数,尺度,および類型:「指数と尺度」「指数の作成」「尺度の作成」「類型」について説明する.
9.標本抽出の理論:「標本抽出の歴史」「非確率抽出法」「確率抽出法の理論と論理」「確率論,標本分布,および標本誤差の推定」「母集団と標本抽出枠」「標本設計の種類」「多段クラスター抽出法」「確率抽出法の復習」について説明する
10.社会調査はどのようにすすめるか:「社会調査の手順」「事前準備」「現地調査」に関して説明する
11.調査票をどうつくるか:「調査票づくりの基本姿勢」「調査票作成の仕事の流れ」「調査設計と調査票」「質問の仕方」「回答形式」「質問票の流れとレイアウト」について説明する
12.データの整理とチェック(分析の前にすること):「データの整備と入力」「データクリーニング」「変数の同定」「合成尺度の構成」について説明する
13.データ分析(基礎の基礎):「分析にあたっての注意」「データ分析の基本的心構え」「データの種類と整理」「データの関連」「第三変数の導入,そして理論へ」を説明する
14.公表の方法と報告書作成の要領:「作品としての公表」「報告書の構成の仕方」「報告書の原稿執筆」「様々な公表にむけて」について説明する
15.実例報告:私が関わったプロジェクトの論文を紹介しながら,社会調査の流れ,問題点,今後の課題などを説明する.
16.課題レポート作成

評価

平常点(実習への取り組みの様子)が基本になる.ポイントは正確な文献の理解と解釈,適切なプレゼンテーション,授業への貢献などである.授業毎に提出してもらう課題と期末レポートで評価する.

再評価

行わない

教科書

E.バビー著,社会調査法1,培風館,2003

E.バビー著,社会調査法2,培風館,2005

森岡清志編著,ガイドブック社会調査,日本評論社,1998

連絡先

矢部(1228, 088-656-9311, yabe@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日12時∼13時

備考

隔年開講,今年度開講せず