2009年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学部課程 — 2年(後期)

地域調査法DII

准教授・矢部 拓也

2単位

目的

2009年度は開講しません.この授業では地域社会とその変容を調査·分析するための多様な理論,視角,手法について議論することを目的とする.社会調査に関しての基礎的な方法論の習得のためのテキストの精読と,適宜,地域社会学,都市社会学的視点からの実証的な研究に関する文献を取り上げることで,実際の調査に必要な知識と社会学的想像力を身につけることを目指す.地域調査実習DI·IIでは,これまで収集した郵送調査のデータの再分析を行う予定である.これらの分析を行えるようになるために,本授業では,多変量解析を中心に学んでゆく.

概要

社会調査に関する方法論的文献購読

キーワード

社会調査

注意

地域調査法DI·IIでは調査の理論と技法を,地域調査実習DI·IIでは実践と応用を学ぶので,同時受講を前提とする.機器の台数や実習室の制約から受講生を制限する場合がある.授業は1年間で全体の計画を実行するので,通年での受講を望みます.

目標

1.地域社会が抱える諸問題に対する理解を深めると共に,先行研究を検討しつつ,地域調査における分析枠組み,仮説の設定を行うことが出来るようになる.

計画

1.クロス集計表:SPSSを動かしながら「二重クロス集計表」「標本に基づく母集団に関する推測」「確率と帰無仮説」「χ二乗検定」について説明する.
2.複数の平均の差の検定:SPSSを動かしながら,「分散分析」「ANOVAモデル」「F分布」「相関比(イータ二乗)」について説明する.
3.分散分析を用いた実証論文の精読:分散分析を使った実証論文を読み,実際の論文において分散分析がどのように使われているのかを理解する.
4.2変量回帰と相関:SPSSを動かしながら,「散布図と回帰直線」「線形回帰式」「決定係数と相関係数」「標準回帰係数」「はずれ値の問題」について説明する
5.多重分割表分析の理論:「不可変数の統制(疑似関係,媒介関係,複合関係)」「2×2表における第3変数の統制」「偏相関係数」について説明する
6.重回帰分析:SPSSを動かしながら,「3変量回帰モデル」「独立変数が3つ以上の重回帰分析」「ダミー変数を用いた回帰分析」を説明する
7.重回帰分析を用いた実証論文の精読:重回帰分析を用いた実証論文を読み,実際の論文において重回帰分析がどの様に使われているのか理解する.
8.ロジスティック回帰分析:SPSSを動かしながら,「ロジスティック回帰の機能·要素·仮定」「ロジスティック回帰係数の解釈」「予測の精度」「残差分析」について説明を行う.
9.ロジスティック回帰分析を用いた実証論文の精読:ロジスティック回帰分析を用いた実証論文を読み,実際の論文においてロジスティック回帰分析がどの様に使われているのかを理解する.
10.非線型回帰:SPSSを動かしながら,「非線型とは何か」「非線型回帰の仮定」「非線型モデルの設定」「曲線の当てはめ」などについて説明を行う.
11.因果モデルとパス解析:「因果の過程」「因果図式」「パス解析」を説明する.場合によってはAMOSでの分析を行う.
12.主成分分析·因子分析:SPSSを動かしながら,「主成分分析」「因子分析(直交回転)」「因子分析(斜交回転)」についての説明を行う.
13.パス解析,因子分析を用いた実証論文の精読:パス解析,因子分析を用いた実証論文を読み,実際の論文においてパス解析,因子分析がどのように用いられているのかを理解する.
14.クラスタ分析:SPSSを動かしながら,「クラスタ分析の機能,目的,データタイプ」「距離と標準化」「階層クラスタ分析」「K-meansクラスタ分析」についての説明を行う.
15.クラスタ分析を用いた実証論文の精読:クラスタ分析を用いた実証論文を読み,実際の論文においてクラスタ分析がどのように用いられているのかを理解する.
16.期末レポート作成

評価

平常点(実習への取り組みの様子)が基本になる.ポイントは正確な文献の理解と解釈,適切なプレゼンテーション,授業への貢献などである.評価は授業毎に提出してもらう課題と期末レポートで行う.

再評価

行わない

教科書

授業中に適宜文献を指定する.扱う予定の文献としては以下のものを考えている.

ボーンシュテット&ノーキ,社会統計学,ハーベスト社,1990

古谷野亘,多変量解析ガイド,川島書店,1988

連絡先

矢部(1228, 088-656-9311, yabe@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日12時∼13時

備考

隔年開講,今年度開講せず