2010年度 工学部 光応用工学科 昼間コース — [選択(A)] 2年(前期)

材料統計熱力学2

Statistical Thermodynamics of Materials 2

講師・森 篤史

2単位

目的

熱力学は材料の微視的な構造の詳細に立ち入らずその性質や挙動を調べる体系であった.統計力学は,これとは対照的に,微視的な情報をもとに巨視的な性質を予測するものである.統計力学的手法について,基礎的な概念と知識および応用力を習得させることを目標とする.

概要

前半8回と後半8回それぞれひとまとまりの授業を行う.6回は講義を中心とした授業を行い,それについで基礎知識を確かめるような試験を行う. 8回目の授業では,試験の講評とレポート問題の説明を行う.レポート課題は,自宅でじっくり考えることを行わせるようなも野とする.

キーワード

位相空間,加重平均,分配関数,自由エネルギー,平均場,自己無撞着方程式,二次相転移,臨界異常,準安定状態,ビリアル展開

要件

復習を前提として授業を進めます.

注意

両方の目標について,いずれにつても出席率が60%以上を試験の受講資格とする.出席率が60%未満の場合は,試験が受けられないだけでなく,レポートの採点もしない.

目標

1.統計力学の処方箋と希薄系・相関の弱い系への適用
2.平均場近似の考え方と濃厚・強相関系への適用

計画

1.熱力学の復習(1.5, 1.6, 1.7, 1.9, 2.2),エルゴード性と等重率の原理(3.1)
2.ボルツマンの原理(3.2),正準集団(3.2),NPT集団, 大正準集団(3.3)
3.理想気体(4.1)
4.調和振動子と固体比熱(5.2)
5.黒体輻射(5.3, 5.8)
6.Langmuir吸着等温式
7.演習(問題)
8.演習(討論)
9.磁性体(5.6),イジング模型(6.1)
10.平均場近似(6.2)
11.臨界現象(2.3),ランダウ理論(2.3, 6.2)
12.合金,正則溶液·正則固溶体,二次元格子気体模型
13.相分離,スピノーダル分解,核生成
14.不完全気体·液体の統計力学(6.7.6),クラスター展開法(6.7.6)
15.演習(問題)
16.演習(討論)

評価

前半(目標1),後半(目標2)ともに,試験(20点)とレポート(30点)の50点満点づつで評価する.何れの到達目標についても60%以上で合格とする(合計点で60%を超えていても,片方が 60%以下なら,科目合格とはならない).

JABEE合格

JABEE合格は単位合格と同一とする.

JABEE関連

学習·教育目標 B [系統的な専門教育課程のもとで光技術に関わる課題を 創造的に見出し,与えられた制約の下で解決できる 能力の育成]

対象学生

光応用工学科2年生(上級学年の再受講,その他許可を受けたものを含む)

教科書

熱力学・統計力学(グライナー物理テキストシリーズ)W. グライナー (著), H. シュテッカー (著), L. ナイゼ (著), 伊藤 伸泰 (翻訳), 青木 圭子 (翻訳),Springer

参考資料

宮下精二著「熱·統計力学」(培風館)

「統計力学」(土井正男, 朝倉書店)

久保亮五編「大学演習 熱学·統計力学」(裳華房)

「材料統計熱力学1」「熱·統計物理学」の教科書·参考書

連絡先

森(光棟407, 088-656-9417, mori@opt.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: オフィスアワーは,学科の掲示板等をご覧下さい.

備考

1.提出物はすべて A4 縦置 横書き.学年番号,氏名,質問書の提出日(必要な場合は,締切日等も)を上部に明記.尚,必要ならば,左上をホッチキス留めすること.
2.正解待ち症候群を助長することを避けるため,質問書に対しては,授業の内容を補うものについて回答を行う.
3.オフィスアワーは,随時とします.超多忙でない限り,仕事の手を止めて対応します.ただ,仕事の書類などがテーブルの上に散乱したままでの対応になることは,ご容赦下さい.