2010年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [必修] 1年(後期)

生化学2

Biochemistry 2

教授・長宗 秀明

2単位

目的

生化学とは,生物に含まれる物質の構造,機能,合成と分解反応を明らかにし,生命現象を化学反応によって説明しようとする学問である.生化学はライフサイエンスの基礎科目であり,その知識は,医薬,環境,食品等の全ての分野において必要である.糖質や脂質は,生命活動のために必要なエネルギー源となるだけでなく,生体構成成分や生理活性物質として種々の生理機能に関わっている.生化学2では,糖質,脂質の化学構造と,エネルギー産生のメカニズムについて理解することを目的とする.さらに,糖代謝やホルモンの作用を学習することで,生体内での化学反応の制御機構について,その概念を理解する.

概要

前半は,糖質(単純糖質,複合糖質),脂質(脂肪,リン脂質,脂肪酸,リポタンパク質)の化学構造と生理機能について講述する.後半は,糖質,脂質からエネルギーを取り出す仕組み(エネルギー代謝)と,その制御機構について講述する.

キーワード

栄養,代謝,エネルギー,ホルモン

要件

基礎生物工学および生化学1 を受講していること.

注意

教科書内の講義範囲を指定しているので,教科書のウェブサイトや章末の練習問題も活用し.毎回の予習と復習を欠かさず行うこと.また本講義においては中間試験及び期末試験を行い総合的に評価することにも留意すること.

目標

1.糖質,脂質の構造と生体内での役割について理解する. (授業計画1-7,15及び中間試験と期末試験による)
2.エネルギー代謝と代謝調節の基本概念について理解する.(授業計画9-15及び中間試験と期末試験による)

計画

1.講義計画の説明とエネルギー代謝の概論(教科書1章1-11頁)
2.糖質の構造による分類とグルコースの化学構造(アルドース,ケトース,ペントース,ヘキソース,エピマー,アノマー)(教科書8章129-133頁)
3.グリコシド結合の多様性,二糖(マルトース,イソマルトース,乳糖,ショ糖),多糖類(でんぷん,セルロース,グリコサミノグリカン)の構造と機能(教科書8.2 134-138頁)
4.糖タンパク質糖鎖の構造(教科書8.3 138-144頁)
5.糖タンパク質における糖鎖の役割(教科書8.2D 141-144頁)
6.脂質の構造による分類(教科書9章145-147頁)
7.リン脂質,生体膜の構造,リポタンパク質(教科書9.1 148-155頁, 19.1B 385-388頁)
8.中間試験(到達目標1の一部評価)
9.消化と吸収(消化酵素,胆汁の作用,19.1A384-385頁)
10.グルコースの取り込みと血糖値の重要性(教科書13章245-253頁)
11.解糖と肝臓・骨格筋における役割(教科書14章261-277)
12.グリコーゲン分解と解糖反応の制御機構(グルカゴン,アドレナリンの作用機序)(教科書14.4 276-280頁,15章289-305頁)
13.糖新生(教科書15.4 306-310),クエン酸回路(16章315-332頁)
14.脂肪酸β-酸化(教科書19.2 388-393頁),アンモニア代謝(教科書20.4 424-427頁)
15.まとめ(教科書21章456-464),中間試験2(到達目標2の一部評価)
16.期末試験(到達目標2一部評価)

評価

到達目標2項目の到達度は試験(中間30%,期末70%)で評価する.試験は項目毎に中間試験1回と期末試験1回を行う.2項目とも到達度60%以上かつ出席率80%以上を合格とする.

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(C),(D)に対応する.

対象学生

他学科学生も履修可能

教科書

「ヴォート基礎生化学 第2版」田宮信雄ら訳,東京化学同人

参考資料

「ヴォート生化学」上巻 東京化学同人, 教科書のホームページ(http://he-cda.wiley.com/WileyCDA/HigherEdTitle/productCd-0471214957.html)には,学生の理解を助けるために,練習問題とクイズ,コンピューターグラフィクスによる説明,アニメーションによる概念や実験の説明,重要なタンパク質の立体構造が掲載されているので,活用すること.

連絡先

長宗(化生棟707, 088-656-7525, nagamune@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月曜日16:20-17:50