2010年度 徳島大学 共通教育 基礎科目群 — 毎年(前期)

基礎化学 / 基礎化学i・化学結合論

Basic Chemistry / Basic Chemistry : Theory of Chemical Bonding

平成19年度以前の授業科目:『基礎化学』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『基礎化学 / 基礎化学i・化学結合論』

鳴門教育大学 准教授・武田 清

2単位

 火(5.6) 工(生1年)

授業の目的

生物体内で起こる現象を理解するには,生体分子の化学的性質の理解が欠かせない.たとえばタンパク質の性質や機能を把握するには,その分子構造や立体構造を知る必要がある.あらゆる物質の構造や性質,化学変化を,分子論的な立場から理解するための基礎となるのが化学結合の概念である.本授業では,量子力学に基づく化学結合論への入門的講義を通して,原子・分子の性質を,電子状態に基づいて理解する上で必要となる基礎概念の定着を目的とする.

授業の概要

量子力学的粒子像を簡単に紹介した後に,前半は主として原子の電子配置についての講義を行う.後半は,分子の電子配置および簡単な分子の構造について,原子軌道に基づき,定性的に説明する.常に高等学校で学んだ知識との対比を行いながら授業を進める.

キーワード

化学結合,電子配置,原子構造,分子構造,原子軌道,分子軌道

受講者へのメッセージ

大学化学では,高等学校化学で学ぶものとは,まったく異なる考え方が多数現れます.電子の波動性などはその典型です.そのような新しい考え方には少しずつ慣れる以外に方法はありません.授業は,高校化学との共通点や相違点を強調しつつ進めます.その中で,意味のわからないことがある場合は,その場その場での発言•質問を奨励します.一人ひとりが疑問に思うことは,しばしば教室にいる受講者の多くが疑問に思っていることです.

到達目標

1.物質の波動性の意味を理解し,原子の電子配置について説明できること.
2.簡単な分子の電子状態,および分子構造について,定性的に説明できること

授業の計画

1.自然科学の諸分野と化学,元素の周期律と原子の電子配置
2.水素原子のエネルギースペクトル,リュードベリの式とボーアモデル
3.光の波動性と粒子性,ド・ブロイの物質波
4.物質波の方程式とその意味するもの
5.水素原子のシュレーディンガー方程式の解
6.水素原子のエネルギー準位と原子軌道の形
7.多電子原子のエネルギー準位と電子配置
8.分子軌道と等核二原子分子
9.異核二原子分子と電気陰性度
10.多原子分子の構造(その1)―中心原子の電子配置と分子構造
11.多原子分子の構造(その2)―混成軌道
12.単結合と多重結合,結合次数,共役二重結合
13.配位結合,ファンデルワールス力,
14.結合エネルギーと熱化学
15.期末試験
16.総括

成績評価の方法

評価は期末試験(約50%),小テスト3 回(約30%),授業への取り組み(約20%)により行う.

再試験の有無

再試験を行う.

教科書

池田憲昭他``化学序説 第4版''学術図書出版

参考書

野村浩康他``大学化学への入門―演習問題を中心に―''学術図書出版(2006)

柴田茂雄``コンピュータグラフィックスによる物理化学の理解''丸善(2001)

連絡先

武田(E-mail:takeda@naruto-u.ac.jp)
オフィスアワー: オフィスアワーはありません.質問は授業中もしくは授業終了直後にしてください.E-メールでの質問も受け付けます.ただしYes-Noで答えられるような単純な質問以外は,携帯電話のアドレスを使わないでください.