2011年度 工学部 電気電子工学科 昼間コース — [選択] 3年(前期)

回路網解析

Network Analysis

教授・西尾 芳文

2単位

目的

電気回路1,2と過渡現象の上位科目として,コンピュータによる電子回路の解析手法である直流解析,交流解析,過渡解析アルゴリズムなどを修得させる.

概要

集積回路素子のダイオード,バイポーラ·トランジスタ,MOSFETなどのモデリング手法について述べ,修正節点法による回路方程式の誘導方法とガウスの消去法やLU分解法による解析手法を学ぶ.次に,動作点解析である直流解析についてニュートン·ラフソン法を理解させ,回路解析における適用方法について述べる.過渡解析では各種の数値積分法について解説し,回路解析への適用方法を学ぶ.これらを実行するツールとしてSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)があるが,これを用いてシミュレーションを行う.

キーワード

回路解析,回路設計,回路シミュレーション

要件

「電気回路1」,「電気回路2」,「過渡現象」,「電子回路」などの基礎科目を修得していることが望ましい.

注意

各種の解析手法について述べるが,その内容と回路解析への適用方法を理解しておけばよい.

目標

1.モデリングに関してはダイオード,バイポーラ·トランジスタ,MOSFETなどの大信号モデルと小信号モデルについて理解し,アナログ電子回路との関連性を修得する.
2.交流解析では小信号モデルが用いられている.修正節点法による回路方程式の導き方を理解する. 次に,コンピュータによる回路方程式の求解法であるガウスの消去法,LU分解法を修得する.
3.直流動作点は回路に含まれているLCを取り除いた回路を解析することによって求められるが,この解析にはニュートン·ラフソン法が適用される.このアルゴリズムの理解と回路解析への適用方法を修得する.また,直流動作点での小信号モデルの誘導方法を理解·修得する.
4.数値積分公式にはルンゲ·クッタ法を初めとして各種の方法があるが,回路の過渡解析には陰的積分公式である後退差分公式が用いられている.そこで,後退差分公式と回路解析での適用方法について修得する.

計画

1.非線形と線形素子との関係,大信号モデルや小信号モデルなどモデリングの統一的な手法(1回分)
2.ダイオード,バイポーラ·トランジスタ,MOSFETの大信号モデル,小信号モデルとSPICEによる素子特性のシミュレーション(2回分)
3.後退差分公式の回路解析への適用とSPICEによる過渡解析シミュレーション(2回分)
4.各種積分公式の打ち切り誤差,安定性(2回分)
5.直流回路方程式の誘導,直流回路方程式の解析に用いられるニュートン·ラフソン法と回路解析への適用とSPICEによる直流解析シミュレーション(3回分)
6.回路方程式 の求解法であるガウスの消去法,LU分解法.SPICEによる交流解析シミュレーション(2回分)
7.修正節点法を理解し,スタンプを用いた回路方程式の統一的な誘導方法(2回分)
8.期末試験(到達目標1,2,3,4の評価)
9.期末試験の返却とまとめ

評価

試験80%,平常点20%で評価し,全体で60%以上あれば合格とする.

JABEE関連

(D)専門基礎30%,(E)[主目標]専門分野(知能電子回路)70%

対象学生

開講コースと同学科の夜間主コース学生も履修可能

教科書

牛田,田中 共著「電子回路のシミュレーション」コロナ社

参考資料

牛田,森 共著「非線形回路の数値解析法」森北出版

連絡先

西尾(E棟3階南 D-7, 088-656-7470, nishio@ee.tokushima-u.ac(no-spam).jp)

備考

授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習をしたうえで授業を受けることが,授業の理解と単位取得のために必要である.