2011年度 工学部 光応用工学科 昼間コース — [選択(A)] 2年(前期)

材料統計熱力学1

Statistical Thermodynamics of Materials 1

講師・森 篤史

2単位

目的

2年次前期に初等熱力学を講ずる.本科目は材料系の科目であるが,熱力学は熱収支などの環境問題の基礎科目でもある.材料の平衡状態での性質を理解するために必須の熱力学の考え方と方法に慣れ親しむ.併せて,熱力学の基本的な概念と知識のいくつかを学ぶ.

概要

前半8回(目標1)と後半8回(目標2)それぞれひとまとまりの授業を行う.基礎知識を確かめるような試験を行い,レポートを課す.レポート課題は,自宅でじっくり考えることを行わせるようなものとする.

キーワード

熱,温度,エネルギー,エンタルピー,エントロピー,自由エネルギー,化学ポテンシャル

要件

特に無し

注意

授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習をしたうえで授業を受けることが,授業の理解と単位取得のために必要である. 両方の目標について,いずれにつても出席率が60%以上を試験の受講資格とする.出席率が60%未満の場合は,試験が受けられないだけでなく,レポートの採点もしない.

目標

1.熱力学の原理
2.熱力学の応用

計画

1.序論:熱力学,状態量,温度,理想気体
2.序論:気体分子運動論,実在気体,気体の液化;熱力学第一法則:状態量の性質
3.熱力学第一法則:仕事と熱,熱力学第一法則,準静的過程,エンタルピー,熱容量
4.熱力学第一法則:Jouleの実験,気体の熱容量,相変化に伴う熱量,反応熱,反応熱の温度依存性,理想気体の断熱変化;熱力学第二法則:Carnotサイクル
5.熱力学第二法則:熱力学第二法則,可逆過程と不可逆過程,熱機関の効率
6.熱力学第二法則:熱力学的温度,Clausiusの式,エントロピー,エントロピーの計算,エントロピーの分子論的意味
7.試験;熱力学第二法則:熱力学第三法則,標準エントロピー
8.目標1の講評,レポートの出題
9.自由エネルギー化学平衡:自由エネルギー,平衡条件,熱力学の関係式
10.自由エネルギー化学平衡:開いた系,化学ポテンシャルの性質,理想気体の化学ポテンシャル
11.自由エネルギー化学平衡:質量作用の法則,標準生成Gibbsエネルギー,平衡定数の温度変化,熱力学と平衡定数
12.相平衡と溶液:相律,二成分系の相平衡,Clapeyron-Clausiusの式
13.相平衡と溶液:理想溶液,Raoultの法則,部分モル量
14.相平衡と溶液:希薄溶液,Henryの法則,沸点上昇と凝固点降下,浸透圧
15.試験;相平衡と溶液:活量
16.目標2の講評,レポートの出題

評価

前半(目標1),後半(目標2)ともに,試験(20点)とレポート(30点)の50点満点づつで評価する.何れの到達目標についても60%以上で合格とする(合計点で60%を超えていても,片方が60%以下なら,科目合格とはならない).

JABEE合格

JABEE合格は単位合格と同一とする.

JABEE関連

学習·教育目標B [系統的な専門教育のもとで光技術に関わる課題を創造的に見出し,与えられた制約の下で解決できる能力の養成]

対象学生

光応用工学科2年生(上級学年の再受講,その他許可を受けたものを含む)

教科書

化学熱力学(原田義也,裳華房)

参考資料

千原秀昭·稲葉章訳「アトキンス物理化学要論」(東京化学同人)

連絡先

森(光棟407, 088-656-9417, mori@opt.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: オフィスアワーは,学科の掲示板等をご覧下さい.

備考

1.提出物はすべてA4縦置横書き.学年番号,氏名,質問書の提出日(必要な場合は,締切日等も)を上部に明記.必要ならば,左上をホッチキス留め.
2.正解待ち症候群を助長することを避けようと思う.
3.オフィスアワーは,随時とします.超多忙でない限り,仕事の手を止めて対応します.ただ,仕事の書類などがテーブルの上に散乱したままでの対応になることは,ご容赦下さい.