2011年度 工学部 光応用工学科 昼間コース — [選択(A)] 2年(後期)

材料統計熱力学2

Statistical Thermodynamics of Materials 2

講師・森 篤史

2単位

目的

熱力学は材料の微視的な構造の詳細に立ち入らずその性質や挙動を調べる体系であった.統計力学は,これとは対照的に,微視的な情報をもとに巨視的な性質を予測するものである.統計力学的手法について,基礎的な概念と知識および応用力を習得させることを目標とする.

概要

前半8回(目標1)と後半8回(目標2)それぞれひとまとまりの授業を行う.基礎知識を確かめるような試験を行い,レポートを課す.レポート課題は,自宅でじっくり考えることを行わせるようなものとする.

キーワード

位相空間,加重平均,分配関数,自由エネルギー,平均場,自己無撞着方程式,二次相転移,臨界異常,準安定状態,ビリアル展開

要件

特に無し

注意

授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と 2時間の復習をしたうえで授業を受けることが,授業の理解と 単位取得のために必要である. 両方の目標について,いずれにつても出席率が60%以上を試験の受講資格とする.出席率が60%未満の場合は,試験が受けられないだけでなく,レポートの採点もしない.

目標

1.統計力学の処方箋と希薄系・相関の弱い系への適用
2.平均場近似の考え方と濃厚・強相関系への適用

計画

1.統計・確率の考え方:統計力学とはなにか,整数値をとる物理量の統計,実数値をとる物理量の統計,中心極限定理
2.孤立系における力学状態の分布:1次元周期運動における力学状態の分布,時間平均,アンサンブル平均
3.孤立系における力学状態の分布:力学量の実現確率,等重率の原理とミクロカノニカル平均,物理量の平均
4.温度とエントロピー:理想気体のエネルギーと圧力,温度の定義,エントロピー
5.カノニカル分布とその応用:カノニカル分布,ほとんど独立な系から構成される系,単原子分子理想気体,二原子分子理想気体,重力場の中の理想気体
6.グランドカノニカル分布とその応用:ギブスのパラドックス,同種粒子からなる系の状態数の計算,グランドカノニカル分布,混合気体
7.試験;量子統計;フェルミ統計とボーズ・アインシュタイン統計:フォノンとフォトン
8.目標1の講評,レポートの出題
9.相互作用のある系:相互作用系の分配関数,密度展開の方法
10.相互作用のある系:分布関数の方法,格子モデル
11.相転移:磁気相転移
12.相転移:ランダウの理論
13.相転移:液晶相転移,気液相転移
14.ゆらぎと応答:平衡系におけるゆらぎと応答,時間遅れを伴う応答
15.試験;ゆらぎと応答:時間相関関数,線形応答の微視的理論,オンサガーの相反定理
16.目標2の講評,レポートの出題

評価

前半(目標1),後半(目標2)ともに,試験(20点)とレポート(30点)の50点満点づつで評価する.何れの到達目標についても60%以上で合格とする(合計点で60%を超えていても,片方が 60%以下なら,科目合格とはならない).

JABEE合格

JABEE合格は単位合格と同一とする.

JABEE関連

学習·教育目標 B [系統的な専門教育課程のもとで光技術に関わる課題を 創造的に見出し,与えられた制約の下で解決できる 能力の育成]

対象学生

光応用工学科2年生(上級学年の再受講,その他許可を受けたものを含む)

教科書

「統計力学」(土井正男, 朝倉書店)

参考資料

久保亮五編「大学演習 熱学·統計力学」(裳華房)

「材料統計熱力学1」「熱·統計物理学」の教科書·参考書

連絡先

森(光棟407, 088-656-9417, mori@opt.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: オフィスアワーは,学科の掲示板等をご覧下さい.

備考

1.提出物はすべて A4 縦置 横書き.学年番号,氏名,質問書の提出日(必要な場合は,締切日等も)を上部に明記.尚,必要ならば,左上をホッチキス留めすること.
2.正解待ち症候群を助長することを避けるため,質問書に対しては,授業の内容を補うものについて回答を行う.
3.オフィスアワーは,随時とします.超多忙でない限り,仕事の手を止めて対応します.ただ,仕事の書類などがテーブルの上に散乱したままでの対応になることは,ご容赦下さい.