物理化学
Physical Chemistry
教授・金崎 英二
2単位
目的
基礎物理化学で学習した化学熱力学に引き続き,系の平衡状態を記述する方法論の一つである化学統計熱力学の基礎について述べ,3年後期に開講される量子化学への橋渡しを行う.系の巨視的な記述方法である熱力学関数が,微視的な存在である分子の性質をどのように反映しているかを,分配関数の計算を通じて理解し,物質系のマクロスコピックな性質が,物質系を構成するミクロスコピックな分子の性質と密接に結び付いている事を知る事が本講義の目的である.基礎物理化学,物理化学及び量子化学の3科目で,「物理化学」という巨大な学問体系の骨格の記述を完結させる.時間があれば,具体例の一つとして,統計的な協同現象である分子の電気的及び磁気的性質等についても触れたい.
概要
化学統計熱力学の基礎について述べる.
キーワード
分配関数,熱平衡状態
先行科目
関連科目
注意
英文の教科書を使用するので予習及び復習すること.パソコンで表計算しグラフを作成する準備をしておくこと.講義の理解のためには,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習とが必要である.講義中は,講義に集中し,私語等は慎むこと.
目標
1. | 化学統計熱力学の基礎的概念を理解できる |
2. | 化学統計熱力学の基礎的概念を用いて簡単な系の記述ができる |
3. | 熱力学的諸関数を分配関数を用いて算出できる |
計画
1. | 講議の概要等の説明 |
2. | 第16章 統計熱力学の概念,配置と重み,瞬間の配置 |
3. | ボルツマン分布 |
4. | 分子分配関数とは何か |
5. | 近似と因数分解 |
6. | 内部エネルギーとエントロピー |
7. | カノニカル分配関数 |
8. | 独立に運動する分子 |
9. | 第17章 化学統計熱力学の方法,基礎的な関係式,熱力学的関数 |
10. | 再び分子分配関数について |
11. | 振動運動の寄与 |
12. | 全分子分配関数 |
13. | 平均エネルギーの計算 |
14. | 残余エントロピー |
15. | 平衡定数 |
16. | 定期試験 |
評価
定期試験と授業の取り組み及びレポート(宿題)により評価.レポート提出期限は次回の講議開始時刻である.期限後に提出されたレポートは評価しない.最終評価における定期試験とそれ以外の割合は60対40である
JABEE関連
本学科教育目標(A: ○),(B: ◎)に対応する
対象学生
開講コース学生のみ履修可能
教科書
P.W.Atkins & J.Paula, Physical Chemistry, 9th ed., Oxford University Press, 2010.
参考資料
講義の中で適宜紹介する.
連絡先
- オフィスアワー: 年度毎に学科の掲示を参照すること
備考
上記授業計画は変更される場合があります.教科書の改訂版が出版された場合には新しい版を教科書とします.