2011年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [必修] 1年(前期)

有機化学1

Organic Chemistry 1

准教授・宇都 義浩

2単位

目的

有機化学とは,有機化合物すなわち炭素化合物に関する学問であり,物理学とともに生物を理解する上で必須な学問である.なぜなら,膨大な化学反応の積み重ねの基に生命の営みがあり,有機化合物の分子構造の理解と化学反応の原理の修得が生命機能を解明するために必要であるからである.よって,本科目では有機化合物の立体構造と反応性を修得することを目的とする.

概要

前半では,有機化学において最も基礎となる原子の構造と結合,混成軌道,アルカンやアルケンの構造,性質および反応性について講義する.後半では,芳香族求電子置換反応,分子模型を用いた立体化学,求核置換反応,脱離反応について講義する.

キーワード

混成軌道,分子構造,反応機構,立体化学

要件

なし

注意

有機化学を学ぶためには,できるだけ多くの反応機構を記述して覚えることと,分子模型を使って立体的に考えることが不可欠です.このため,分子模型も毎回持参して下さい.また,予習・復習の手助けのために毎回課題を与えるので,各自必ず解いて授業に臨むこと.

目標

1.原子の構造,軌道の概念を理解し,有機化合物の分子構造を正しく記述できる.
2.極性反応における電子の流れ(反応機構)を正しく記述できる.

計画

1.導入教育,有機化学とは(教科書p.1∼2)
2.原子の構造と結合(教科書p.3∼10)
3.混成軌道(sp3, sp2, sp),酸と塩基(教科書p.11∼25)
4.官能基,アルカンの構造と性質(教科書p.34∼55)
5.シクロアルカン,アルケンの構造と異性体(教科書p.55∼63, 74∼83)
6.中間試験1(到達目標1の一部評価),有機反応の機構(教科書p.83∼95)
7.アルケンの反応,ラジカル反応(教科書p.104∼119)
8.共鳴,アルキンの反応(教科書p.119∼131)
9.ベンゼンの構造,芳香族求電子置換反応(教科書p.142∼154)
10.芳香族求電子置換反応における置換基効果(教科書p.154∼165)
11.中間試験2(到達目標2の一部評価),立体化学とは(教科書p.175∼183)
12.絶対配置,立体異性体(教科書p.183∼197)
13.ハロゲン化アルキル(教科書p.207∼212)
14.求核置換反応(SN2及びSN1反応) (教科書p.212∼222)
15.脱離反応(E2及びE1反応) (教科書p.222∼228)
16.期末試験(到達目標全ての一部評価)

評価

到達目標2項目が各々60%以上達成されている場合をもって合格とする.到達度は目標1が中間試験1(30%)及び期末試験(70%)で,目標2が中間試験2(30%)及び期末試験(70%)で評価する(出席点は加えない).中間試験1(25%)+中間試験2(25%)+期末試験(50%)で最終評価とする.ただし出席率80%以上(12回以上の出席)を期末試験の受験資格とする.

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(C),(D)に対応する.

対象学生

他学科学生も履修可能

教科書

J. McMurry 著「マクマリー有機化学概説 第6版」東京化学同人

分子模型「HGS Biochemistry Molecular Model, Student Kit」丸善

参考資料

J. McMurry 著「マクマリー有機化学(上) 第7版」東京化学同人

J. McMurry 著「マクマリー有機化学(中) 第7版」東京化学同人

橋本,村上,加納 著「基礎有機反応論」三共出版

太田,西山 著「ビギナーのための有機合成反応」三共出版

大野 著「大学生の有機化学」三共出版

合原,礒部,伊藤,田中,迎 著「新しい基礎有機化学」三共出版

畔田,樋口,川淵,高木 著「これでわかる基礎有機化学」三共出版

柏村,山際,末永,佐賀,松本 著「反応から学ぼう有機化学の基礎」三共出版

連絡先

宇都(M棟820, 088-656-7522, uto@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日 16:20-17:50

備考

1.原則として再試験は実施しない.また,授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習をしたうえで授業を受けることが,授業の理解と単位取得のために必要である.
2.到達目標1は授業計画1∼5と11∼12,到達目標2は授業計画6∼10と13∼15の内容がそれぞれ主に対応している.