2011年度 総合科学部 人間文化学科 国際文化コース 学士課程 — [選択] 2年(後期)

アジア史基礎研究Ⅰ

教授・葭森 健介

2単位

目的

東アジアの歴史·社会に関する文献資料(主として漢文資料)の読解を通して,アジアの歴史や社会への理解を高めると共に,東アジアの古典文化研究に必要な情報処理能力·語学力を養成することを目的とする.

概要

『三国志』の講読を通じ,漢文による歴史資料の読解力を身につけると共に,当時の政治,軍事,社会の諸問題を考察する.今年度も受講者の希望も考慮し,『三国志』の中から題材を選ぶ.昨年は『三国志』の中でも代表的な諸葛孔明の列伝の前半を読んだが今年度はとりあえずは赤壁の戦いで活躍した将軍たちの列伝を教材として準備している.

キーワード

『三国志』,中国中世史,漢文購読,歴史資料分析

注意

受講に際しては基礎的な漢文の知識,それに加えて十分な予習復習が欠かせないのでその点注意しておくこと.現代中国語は必須ではないが,文法知識として役立つ.授業計画は授業内容をテーマ別に記したものであって,始めと終わりを除いて,順序を記したものではない.

目標

1.辞書や工具書を使い訓点のない簡単な『正史』の漢文が読め,『三国志』の時代背景が理解できることを目標とする.

計画

1.受講生と共に『三国志』の中から講読する部分を選定する.
2.辞書の使い方.特に付録の利用法.
3.漢文のリズムのつかみ方.漢文の語順の法則.
4.送りがな,返り点付け方.漢文の禁則事項.
5.工具書(索引や種々の事典)の有効活用法.
6.官職,人名,地図の調べ方と読み込み方.
7.既存の研究の利用法.
8.『三国志』の時代背景(1)-中国史の中で
9.『三国志』の時代背景(2)-当時の社会状況
10.『三国志』と日本
11.『三国志』の時代の中国と現代
12.『三国志』の正しい読み方-史実とフィクション
13.資料と研究の間
14.『三国志』を読んで(1)-発表
15.『三国志』を読んで(1)-討論
16.総括

評価

平常点とレポートを組み合わせて評価する.特に,平常点が重視されるので欠席の多い場合は単位を出せない.

再評価

平常点に再試はない

教科書

テキストはプリントを配布する.参考書はないが漢文と雖ども外国語である(それも古文).従って辞書は必携.高校の時に使ったものでもよいから必ず持参すること.なお,『三国志』について何か読んでおく方が取っつきやすい(但しコンピューターゲームは除く).

参考資料

授業の中で紹介する.とりあえず川勝義雄『中国の歴史』3(講談社学術文庫),『東洋の知識人』(朋友書店)を挙げておく.

連絡先

葭森(アジア史研究室, 088-656-7156, yosimori@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月曜16:30∼17:30