2011年度 総合科学部 人間社会学科 地域システムコース 学士課程 — 2年(前期)

地域調査法DI

准教授・豊田 哲也

2単位

目的

社会学において,理論と調査の往復運動は研究上不可欠であるが,講義と調査を架橋する機会は多くない.この講義では,自分が住む地域の多文化状況に関する調査を事例として,地域調査の手順を学んでもらう.具体的には,徳島市におけるモスクとムスリム(イスラーム教徒)を事例として,移民ネットワークや移民による資源動員,エスニック関係に対して質的にアプローチする方法をテーマとする.授業にあたっては,インタビューに必要な問いの立て方,当事者に対するアプローチの仕方,KJ法による議論の整理と仮説構築について,講義と発表形式により身につけていきたい.

概要

この講義は,地域調査実習Fと連動して行われる.単なる調査方法を教えるだけでなく,それをすぐに具体的な調査で応用してもらうようになる.

キーワード

社会調査

注意

地域調査演習Fとセットで受講し,なおかつ基本的には通年で受講することを前提とする.

目標

1.社会調査の概要を学び,調査に同行して基礎的な方法を身につける.

計画

1.オリエンテーション
2.調査目的を考える:何を知るのか? 生活世界の解明とは何か?
3.調査の方法論:量的調査,質的調査,資料収集,史料にもとづく考証
4.質的調査で何がわかるか(1):インタビューデータの使い方
5.質的調査で何がわかるか(2):ライフヒストリー分析の射程
6.調査方法の選定:個人と集団に対する質的なアプローチ
7.対象者へのアプローチ方法:ホームページ,関連文献の収集,データの整理法
8.インタビューの準備:依頼状の書き方,アポイントのとり方,下調べの仕方
9.インタビューの準備:質問項目の作り方
10.インタビュー実施の注意事項:訪問の仕方,質問の仕方,メモの取り方
11.インタビュー記録の作成:メモをどの程度とれているか,それをどのように文章にするか,礼状をどのように書くか
12.インタビュー記録の分析:事前に収集した資料とインタビューの違い,インタビューにより何がわかるのか
13.予備調査と本調査:予備調査の役割,本調査に向けた質問票作成
14.仮説の整理:資料とインタビューからの仮説構築
15.仮説から質問票へ:KJ法による整理,ワーディングの仕方

評価

通常の講義とは異なり,調査実習と連動する授業のため,平常の出席と発表により成績評価する.

再評価

行わない

教科書

佐藤郁哉『フィールドワークの技法』新曜社,桜井啓子『日本のムスリム社会』筑摩書房

連絡先

豊田(088-656-7154, toyoda@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜 12:00∼13:00

備考

隔年開講,平成24年度開講