解析学Ⅰ
教授・伊藤 正幸
2単位
目的
高校および大学の初年時に学んだ微分積分学では,リーマン式積分を学んできた.多くの実用的な積分計算において,リーマン式積分はなんら支障なく有効に働く.しかし,この考え方では,集合の長さ,面積,体積などの基本的な概念があいまいであり,解析学や確率論を進める上では積分理論の見直しが必要である. そこで,測度(長さ,面積,体積などの一般化概念)論と,それに基づいたルベーグ式積分理論の基礎を概説する.
概要
一般には,測度(長さ,面積,体積などの一般化概念)論と,それに基づいたルベーグ式積分理論を展開する道筋をたどるが,この方法は難解なので,測度論はせずに直接ルベーグ式積分を定義するRieszの方法で講義する.
キーワード
ルベーグ積分,収束定理
注意
計算技術や問題解法テクニックの向上の上では,この講義は一見何の役にも立たないように思われる.そればかりか,積分論の再構築がテーマであるこの講義では,複雑でなじみのない議論が展開され,はじめて学ぶ学生諸君には何回で取っ付き難いものであろう.多くの先生方も学生時代はそう感じたに違いないと思われる.それにもかかわらず,カリキュラムに組み入れられているのは,この学問なくしては,解析学が構築できないからである. 講義の難解さやに圧倒されることなく,新しい推論方法に接するという気楽な気持ちで休まず受講して欲しい.完全に理解できなくとも,その後の勉学にきっと役に立ちます.
目標
1. | 測度とルベーグ式積分の概念を理解する. |
2. | 収束定理が使える. |
計画
1. | 関数の収束と積分 |
2. | 実数,集合,収束 |
3. | リーマン積分の定義と問題点 |
4. | 階段関数,測度0の集合 |
5. | ルベーグ積分 |
6. | リーマン積分とルベーグ積分 |
7. | ルベーグ積分の性質 |
8. | 収束定理,レビの定理 |
9. | ルベーグの収束定理 |
10. | ファツウの定理 |
11. | 積分記号のもとでの連続性・微分可能性 |
12. | 関数の積分可能性 |
13. | 多変数関数の積分 |
14. | フビニの定理 |
15. | 期末試験 |
16. | 総括授業 |
評価
期末試験のほか演習とレポートも重視.
再評価
行う用意はある.
教科書
「改訂関数解析入門」 洲之内治夫著 サイエンス社
参考資料
ルベーグ積分 溝畑茂著 岩波全書
連絡先
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