2011年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(前期)

歴史と文化 / 日本古代文学Ⅰ

History and Culture / Ancient Japanese Literature 1

平成19年度以前の授業科目:『歴史と文化』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『歴史と文化 / 日本古代文学Ⅰ』

准教授・堤 和博

2単位

 木(3・4) 全(全)

授業のタイプ

講義

授業の目的

これからの人生を送っていくなかで,種々多様な文学作品に接することは,色々な面において有意義なものとなるはずである.しかし,日本古典文学作品を読むとすると,言葉が現代語と違うのは勿論のこと,何かと取り付きにくいものである.そこで,日本古典文学史上の著名な詞華集の一つである『万葉集』所載の歌歌を取り上げ,古典文学作品読解の基本を身につけることを目的とする.以上のことに加え,文章力を養うことも目的とする.

授業の概要

文学作品の読解とは表面上の意味を読み取る(古典で言えば単に現代語訳する)だけではすまされないのは勿論である.作品の成立した過程やその時代の状況,あるいは登場人物の人物像などを考慮に入れながら,作者が真に訴えたかったことを慎重に読み取っていかなくてはならない.『万葉集』の歌について言うと,奈良時代すでに中国文化の影響を強く蒙っていたのは言うまでもないが,平安時代の『古今和歌集』以後の歌に比べると,その影響は小さい.そんな,日本古来の歌を読みとっていくことを目的とする.ところで,和歌に限らず文学作品はそれが生み出された時代の文化や政治などと不可分である.この授業では,舒明天皇期以降の主として政治史を視野に入れながら,どういう政治状況のもとでどういう歌が詠まれていたのかを跡付けていく.『万葉集』所載の歌は,概ね,舒明天皇の頃の歌から長岡京遷都頃までに詠まれたといわれる.これらの歌は普通四期に分けて捉えられるが,その四期に分かって順次講じていくこととし,最初に『万葉集』に関する基礎的な事柄を説明しておく.また,防人の歌等は別途講じる.

キーワード

万葉集,日本古典文学,日本古代史

受講者へのメッセージ

特に歴史に関する事柄は欠かさず聴講しないと理解しにくいので,やむを得ず欠席した場合は,個別に質問に来ること.なお,数度以上無断で欠席した者は,受講の意志を無くしたものとみなす.

到達目標

1.『万葉集』所載のそれぞれの和歌が詠まれた頃の時代や作者の状況を把握した上で,その和歌を読解する過程及び結果が理解できる.
2.1で理解した内容をわかりやすく文章化できる.

授業の計画

1.『万葉集』の成立過程等,『万葉集』に関する基礎的な事柄
2.『万葉集』第一期 舒明天皇期から壬申の乱(672年)(1)―有間皇子等―
3.『万葉集』第一期 舒明天皇期から壬申の乱(672年)(2)―額田王等―
4.『万葉集』第一期 舒明天皇期から壬申の乱(672年)(3)―中皇命等―
5.『万葉集』第二期 壬申の乱から平城京遷都(710年)(1)―大津皇子・大泊皇女等―
6.『万葉集』第二期 壬申の乱から平城京遷都(710年)(2)―柿本人麻呂等―
7.『万葉集』第二期 壬申の乱から平城京遷都(710年)(3)―高市黒人等―
8.『万葉集』第三期 平城京遷都から733年(1) ―大伴旅人等―
9.『万葉集』第三期 平城京遷都から733年(2) ―山上憶良等―
10.『万葉集』第三期 平城京遷都から733年(3) ―高橋虫麻呂等―
11.『万葉集』第四期 734年から759年(1) ―笠女郎等―
12.『万葉集』第四期 734年から759年(2) ―中臣宅守・狭野弟上娘子等―
13.『万葉集』第四期 734年から759年(3) ―大伴家持等―
14.東歌,防人歌,遣新羅使人の歌
15.レポート作成,または,テスト
16.総括授業

成績評価の方法

数度の小レポートと期末試験(記述式)の合計点に欠席状況(注)を加味する. 注·授業には出席するのが当然なので,出席しても加点しないが,欠席すると減点する.

再試験の有無

教科書

『新選万葉集抄新装版』(小野寛著・笠間書院)1600円税別

参考書

授業中に適宜配布,提示する.

連絡先

堤(4-404, tsutsumi@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)