2011年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(前期)

自然と技術 / 身のまわりの物性科学

Science and Technology / Introduction to Material Science

平成19年度以前の授業科目:『自然と技術』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『自然と技術 / 身のまわりの物性科学』

教授・小山 晋之

2単位

 火(1・2) 全(全)

授業の目的

我々の身のまわりには様々な"ブラック・ボックス"があふれています.携帯電話,・・・などなど,様々な物や現象に対して「なぜだろう?」という素朴な疑問について考えることを忙しさの中で忘れていませんか? 現代科学の根幹をなす材料科学∼物性科学を紹介しながら物理学の論理的な思考方法を紹介するとともに,身のまわりの日常の物理現象の裏に隠されている原理を科学の眼で見る(理解する)こと∼あるいは見ようとすることをこの授業の目的としています. 『物性』とは,物質の示す色々な性質のことです.種々の物質の示す様々な物性を,原子核と電子のレベルまで踏み込んで,そのような物性が出現する理由を20世紀の物理学の代表である量子力学を用いて解明し,さらに優れた物性を示す物質を探索あるいは創製し,社会に還元することが物性科学の大きな目的となっています.

授業の概要

我々の身近にある物質の種類は多種多様です.ピカピカ光る金属もあれば,ダイアモンドのように透明な結晶もあります.磁石につく鉄のような物質もあれば,パソコン,携帯電話に使われているトランジスターの材料となっている半導体もあります.また,銅のように電気抵抗率が小さく電気をよく通す物質もあれば,完全に電気抵抗がゼロとなってしまうような超伝導体もあります.このような物質の多様性を一歩物質の中に踏み込んで,なぜそのような性質が現れるのかを調べるのが物性科学の目的です.物性科学とはどういう学問であるかをできるだけ沢山の例を示しながら,できるだけやさしく解説します.また,身のまわりの様々な物理現象を中心にクイズ形式で皆さんに論理的な考え方を身につけてもらいたいと思います.

キーワード

物性科学入門,物理的な考え方,身のまわりの物理現象のなぜ,様々な知識の有効活用

受講者へのメッセージ

ほぼ毎回の授業中に提出してもらうクイズ(身のまわりの物理現象に関するものなど)は単なる出席点とはならないので注意して下さい.たとえ正解でなくとも,積極的に自分で考え,他の人に説明するという観点で考えてほしいと思います.また,自分なりに(自習したり調べた部分を強調するなど)工夫して講義ノート(原則として最終回の1回前に提出【未提出の場合は再試扱いとなります】してもらい,最終回に返却します)を作成して下さい.

到達目標

1.物性科学を通じて,物理学の論理的な思考方法の基礎が理解できる.
2.身のまわりの色々な物理現象を通じて,物理的な考え方·論理的な思考方法についての認識を深める.

授業の計画

1.講義の進め方と成績評価について(毎回のクイズとノート提出&レポートについて)
2.序論(1):身のまわりの物理現象の``なぜ?'' について考えてみる
3.序論(2):物性科学とは?
4.物質の構造(1):物の詰め方と原子(イオン)の配列の仕方について
5.物質の構造(2):簡単な結晶構造について
6.原子(イオン)を結びつける力(1):結合力の起因とその種類について
7.原子(イオン)を結びつける力(2):温度と熱膨張について
8.周期律表と物性(1):原子の周期性と物性の関係について
9.周期律表と物性(2):量子数と周期律表について
10.原子の世界の力学:量子力学と古典力学の違いについて
11.量子統計:フェルミ粒子とボース粒子について
12.電気抵抗:金属と半導体について
13.超伝導(1):超伝導とは?
14.超伝導(2):超伝導の限界(温度,磁場,電流の限界)について
15.超伝導(3):超伝導の起因,超伝導の応用∼これからの夢 【ノート提出】
16.総括授業:前回のクイズの解説 【ノート返却】

成績評価の方法

期末試験は行わず,授業中に出す身のまわりの物理に関するクイズあるいは講義内容に関する疑問点および最後の授業で提出してもらう各自の講義ノートとレポート(2回程度)を総合的に評価します. レポート(20%),ノート(30%),授業への取り組み状況∼毎回行うクイズへの取り組みなど(50%)などを元に総合的に評価します(ただし,評価割合の目安は括弧内パーセントです)

再試験の有無

無(原則として)

教科書

教科書は使用しない.適宜プリントを配布する.

参考書:平田雅子「好きになる理科系科目 便利で役立つ理系の知識」講談社サイエンティフィク,

参考書:稲場秀明「携帯電話でなぜ話せるのか 科学の眼で見る日常の疑問」丸善,

参考書:一橋大学理科教育研究会編「サイエンスミニマム10講++」培風館,その他

連絡先

小山(総合科学部3号館1N07, 088-656-7233, koyama@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 火曜・木曜の昼休み時間