歴史と文化 / 沖縄社会文化論
History and Culture / Okinawa Society and Culture
平成19年度以前の授業科目:『歴史と文化』
平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『歴史と文化 / 沖縄社会文化論』
教授・髙橋 晋一
2単位
月(1・2) 全(全)授業の目的
異文化/自文化を客観的に把握する視点の獲得は,持続可能な社会・共生社会を考える上で重要なものである.本講義では,とくに沖縄の文化を事例として,こうした視点の獲得を目指したい.これまで沖縄の文化·社会は,日本との関わりにおいて言及されることが多かった.しかし沖縄は古くから日本のみならず,より広大な東アジア·東南アジア世界と結び付きを持ち,それらの地域との密接な交流のなかで,独自の社会·文化·民俗を作り上げていったのである.本講義では,従来の「日本文化と沖縄文化」という視点にとどまらず,「アジアの中の沖縄」(さらには「世界の中の沖縄」)というより広い視点から,現代の沖縄の文化·社会の姿を見つめ直してみたいと考えている.また,沖縄という一地域の事例を通して「文化人類学的なものの見方」に対する理解を深めることも,本授業の大きな目的の一つである.
授業の概要
毎回,祭り,音楽,食文化など具体的なトピックを取り上げつつ,「アジアの中の沖縄」(さらには「世界の中の沖縄」)という視点から,沖縄の文化と社会の基層構造(沖縄文化·沖縄社会の本質)を解明していく.
キーワード
沖縄,文化,アジア,文化人類学,民俗学
受講者へのメッセージ
受講者の理解を助けるため,授業の中ではDVD,CD,パワーポイントによるプレゼンテーションなどの視聴覚教材を多用する.フィールドワークを「疑似体験」しながら,文化現象の意味について考えてもらいたい.
到達目標
1. | 沖縄の文化·社会の持つ特質を,文化人類学的な概念·理論をふまえながら理解することができる. |
授業の計画
1. | はじめに-沖縄文化·社会をとらえる視点 |
2. | 「海上の道」は時空を超えて-沖縄の自然·歴史と文化 |
3. | 祖霊が見守るシマ-沖縄の村落構造と世界観 |
4. | 墓を生きる人々-沖縄の家族·親族と祖先崇拝 |
5. | ニライカナイ(海上他界)と仮面来訪神-沖縄の祭りと芸能 |
6. | 神になった女性-沖縄の女性祭司の世界 |
7. | 琉球音階は黒潮に乗って-伝統音楽から沖縄ポップスまで |
8. | ウチナンチュ(沖縄人)の見た沖縄-沖縄映画の世界 |
9. | 創り出される「ちゃんぷるー文化」-沖縄の地域イメージと観光文化の展開 |
10. | 食のクロスロード-沖縄の食文化にみる外来文化の影響 |
11. | 環東シナ海の文化交流-沖縄における中国的習俗 |
12. | 「沖縄」を踊る-在阪沖縄人社会の「エイサー」をめぐって |
13. | 中国文化を生きる-石垣島の華僑社会の事例より |
14. | 東アジア世界へのひろがり-沖縄の風水 |
15. | レポート提出 |
16. | 総括 |
成績評価の方法
本授業の成績評価は,授業への取り組み状況(25%),授業時間中に随時行う小テスト(各回の授業内容の理解度を確認する簡単なテスト)の点数(40%),期末レポートの点数(35%)を総合して行う.ただし,評価割合の目安は括弧内のパーセントである.
再試験の有無
無
教科書
教科書は使用しない.毎回,授業中にプリントを配布する.
参考書
以下に挙げる概論·入門的な参考書のほか,個々のトピックに関する参考書については,講義の中で随時紹介する.
外間守善『沖縄の歴史と文化』中公新書,1986年
赤嶺政信『沖縄の神と食の文化』青春出版社,2003年
多田治『沖縄イメージの誕生』東洋経済新報社,2004年
渡邊欣雄『世界のなかの沖縄文化』沖縄タイムス社,1993年
『アジア遊学』53号(特集=沖縄文化の創造)勉誠出版,2003年
嘉手川学編『沖縄チャンプルー事典』山と渓谷社,2001年
WEBページ
連絡先
- オフィスアワー: (後期)月曜12-13時