2011年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

歴史と文化 / 宮澤賢治の時代と社会

History and Culture / the Age of MIYAZAWA,Kenji and the Social Background

平成19年度以前の授業科目:『歴史と文化』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『歴史と文化 / 宮澤賢治の時代と社会』

教授・中嶋 信

2単位

 月(3・4) 全(全)

授業のタイプ

講義

授業の目的

社会的現実は総合的な存在です.私たちは,文学・生物学・経済学など限定した方法で対象を捉えがちです.それは学問の方法として認められていますが,一面的な理解に陥る危険性をはらみます.それを克服するには「総合科学」という方法を修得することが有益です.宮澤賢治は童話作家・詩人として著名ですが,宗教者・教育者・農業技術者としての専門性を見逃すと彼の全体像が得られません.また,多面的な天才・賢治が輩出された時代背景を深く捉えるには経済学の方法も必要です.この講義は,宮澤賢治という対象を総合科学の方法で解析します.

授業の概要

宮澤賢治が制作活動を旺盛に展開した「戦間期」の農村社会の状況を整理した上で,彼の作品を読み解きます.作品群を素材に,文学者・教育者・宗教者などの多彩な資質を備えた賢治が模索したことがらを総合的に把握します.そして,現代の私たちが,賢治から何を学び,その志をどう引き継ぐべきかを考えます.進め方は下記の通りです.

キーワード

宮澤賢治,経済史,社会背景

受講者へのメッセージ

専用ファイルを準備し,レジュメ·ノート·関連資料などをまとめて私的テキストをつくること.経済社会のダイナミズムを自分の頭でとらえよう.<The Sense of Wonder>を磨きあおう.

到達目標

1.宮澤賢治が活躍した時代の状況を総合的に把握できる.
2.賢治の作品をより深く読み,近現代史上の位置を理解できる.
3.賢治のメッセージの意味を現代に即して考えることができる.

授業の計画

1.文学作品と諸科学 総合科学の課題と講義の進め方
2.「戦間期」という時代 賢治が駆け抜けた時代の状況
3.東北というポジション 日本社会の近代化と賢治の郷里
4.賢治の生涯と作品 賢治の壮大な思索と実践の背景
5.賢治の自然観・社会観 賢治が描く独自空間の構成
6.賢治の教育実践(1) 天才教師の足跡をたどる
7.賢治の教育実践(2) 教育実践が挫折した理由
8.賢治と国家と戦争(1) 賢治と戦争との関わり
9.賢治と国家と戦争(2) 戦争に関わる評価の混乱の整理
10.新しい宗教のかたち(1) 近代化と宗教の変容
11.新しい宗教のかたち(2) 賢治の宗教実践の転換
12.未来社会のかたち(1) 時代の課題と社会運動の叢生
13.未来社会のかたち(2) 賢治が目指す社会像とその破綻
14.現代と宮澤賢治 賢治のメッセージの現代的意味
15.筆記試験
16.質疑応答と全体のまとめ 講義内容の補足

成績評価の方法

二つの試験を総合して認定.出席状況で補正します. <中間試験> (1)∼(5)を概括するテーマのリポート提出, <期末試験> (6)∼(13)のいずれかのテーマの筆記試験

再試験の有無

教科書

テキストは用いず,プリントに従って進めます.進行に沿って参考書を紹介します.

連絡先

中嶋(総合科学部1号館2218室, 088-656-7181, makoto@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月曜日13:30~17:00 研究室(総合科学部1号館3F中棟3M15)