2011年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

生活と社会 / 国際政治学入門

Living and Society / Introduction to International Politics

平成19年度以前の授業科目:『生活と社会』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『生活と社会 / 国際政治学入門』

教授・饗場 和彦

2単位

 金(9・10) 全(全)

授業の目的

「一種のチーズの臭いか...」.人間の死臭をどうたとえていいか思案しながら,死体を見回した.部屋いっぱいに'展示'してある遺体は白くミイラ化していた.次の部屋には子供のなきがらばかり横たわる.アフリカのルワンダでは,1994年の4月から6月にかけて,フツとツチの二つのグループがからむ対立で約80万人が殺害された――(饗場和彦「虐殺から六年 和解と対立に揺れるルワンダ」『世界』2000年10月号より引用).世界のあちこちで依然,紛争が絶えない.この授業では戦争,平和の問題を中心に,国際社会,国際政治について関心と問題意識を高め,基本的な知識を得ることを目的とする.

授業の概要

国際社会の基本的な仕組み,特徴などを概説した上で,具体的な問題をとりあげて考察する.筆者はルワンダやボスニア,コソボ,東ティモール,カンボジア,ミャンマー,パレスチナ,グアテマラなどの紛争地を歩き,2001年9月にはニューヨークでテロに遭遇.02,04年はアフガニスタンで調査を行った.授業ではこうした現場の視点を取り入れ,臨場感のある解説を試みる.ビデオやスライドなども多用し,2週間で一つのテーマを扱う.テーマごとに受講者からの質問や意見を集め,講義中にそのフィードバックも行う.

キーワード

国際政治,戦争,紛争,平和

受講者へのメッセージ

新聞の国際面の記事はよく読むようにしてください.

到達目標

1.国際社会の基本的原理,仕組みが理解できる.
2.国際社会の平和と戦争の問題について知識を広げる.
3.国際政治の現実と理想について認識でき,バランスの取れた視点から思考ができる.

授業の計画

1.イントロダクション
2.国際社会の特徴,原則 ―国内社会とどう違う?弱肉強食の世界か(前)―
3.国際社会の特徴,原則 ―国内社会とどう違う?弱肉強食の世界か(後)―
4.なぜ戦争は起きるか-国連の平和への取り組み(前)
5.なぜ戦争は起きるか ―国連の平和への取り組み(後)―
6.民族紛争の仕組みと実態 ―東京と大阪間でも起きる?(前)―
7.民族紛争の仕組みと実態 ―東京と大阪間でも起きる?(後)―
8.ベトナム戦争 ―死者300万人,やらずに済んだ戦争?(前)―
9.ベトナム戦争 ―死者300万人,やらずに済んだ戦争?(後)―
10.日本の戦争と靖国参拝問題 ―まず知ること,そして多面的な見方を(前)―
11.日本の戦争と靖国参拝問題 ―まず知ること,そして多面的な見方を(後)―
12.人間の安全保障と国際協力 ―平和のための多様なアプローチ(前)―
13.人間の安全保障と国際協力 ―平和のための多様なアプローチ(後)―
14.社会問題の考え方再確認 ―自立して,多面的にとらえて,バランスよく考える―
15.補足と総括

成績評価の方法

期末の試験はあらかじめ問題を提示するので,試験日までに準備し,当日は持ち込み禁止で解答する.また,平常点として授業の取り組み姿勢と出席状況を評価する.おおむね試験50%,平常点50%.

再試験の有無

有り.

教科書

教科書は特に指定しない.授業中に配布するレジュメや資料にしたがって講義を進める.参考書などは,たとえば以下の書籍など.高柳先男『戦争を知るための平和学入門』(筑摩書房,2000年,1200円),『新国際関係学がわかる.(AERA Mook)』(朝日新聞社,1999年,1050円),池上彰『そうだったのか!現代史』(集英社,2000年,1,700円),津守滋『地球が舞台 -国際NGO最前線からの活動報告-』(勁草書房,2002年,2800円).『グローバル時代の平和学 1∼4』(法律文化社,2004年,各2500円).石弘之『子どもたちのアフリカ』(岩波書店,2005年,1700円).松村高夫・矢野久『大量虐殺の社会史-戦慄の20世紀』(ミネルヴァ書房,2007年,4500円)

連絡先

饗場(088-656-7186, aibak@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日13:30∼14:30,金曜日14:30∼16:00.この時間以外でも在室時はいつでも可.