2011年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

自然と技術 / ゼミナール「くすりをつくるー現代の錬金術・有機化学への招待ー」

Science and Technology / Synthesis of Medicines: Invitation to Organic Chemistry

平成19年度以前の授業科目:『自然と技術』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『自然と技術 / ゼミナール「くすりをつくるー現代の錬金術・有機化学への招待ー」』

准教授・吉田 昌裕

2単位

 水(7・8) 全(全)

授業のタイプ

講義

授業の目的

将来薬学研究者や薬剤師を志す者にとって,医薬品を分子レベルより理解することは極めて重要である.本授業では主な医薬品・生理活性物質の薬理作用,歴史的な背景ならびに合成法について紹介することで,創薬化学の基礎を理解し,更に医薬品創製に必要な基礎的な有機合成の知識習得を目指す.

授業の概要

現在用いられている医薬品の多くは,単純で容易に手に入る化合物に対し様々な有機化学反応を積み重ねていくことにより合成される.本授業では代表的な医薬品・生理活性物質の分子構造をあげ,開発された経緯,どのようにして薬理活性が発現するのかその概要について解説する.また様々な生理活性分子の合成法について,わかりやすく説明する.

キーワード

有機化学,有機合成,医薬品,創薬化学,天然物

到達目標

1.薬の発見の歴史について具体例を挙げて概説できる.
2.医薬品として使われている天然有機化合物およびその誘導体を,具体例を挙げて説明できる.
3.代表的な官能基選択的反応を列挙し,その機構と応用例について説明できる.

授業の計画

1.ガイダンス: 創薬における有機合成化学の重要性 ∼くすりはどのようにして創られるのか∼
2.代表的な医薬品の分子構造: 薬理活性発現と構造活性相関
3.鎮痛薬(1): アスピリン誕生の歴史
4.鎮痛薬(2): 主な鎮痛薬の構造と合成法
5.医薬品と立体化学: 野依触媒によるメンソールの大量合成
6.麻薬の化学(1): 咳止め・覚せい剤と長井長義との密接な関係
7.麻薬の化学(2): ヘロイン,コカイン,LSDの合成法
8.有機リン化合物: 神経ガス サリンの合成法
9.ステロイド: アトピーから薬物ドーピングまで
10.抗生物質(1): ペニシリン発見の歴史
11.抗生物質(2): 新規抗生物質開発物語 ∼細菌と人間との終わりなき闘い∼
12.神経毒: ふぐ毒の本体テトロドトキシンとゾンビ伝説
13.抗がん剤(1): タキソールの発見と全合成競争
14.抗がん剤(2): 新規抗がん剤の開発物語
15.アルツハイマー治療薬: 日本発の医薬品・ドネペジルについて
16.まとめ: 有機化学の未来展望 ∼有機合成化学は不死鳥になりうるか?∼

成績評価の方法

レポート及び課題発表(50%),授業への取り組み(50%)を基に総合的に評価する(ただし,評価割合の目安は括弧内パーセントである).

再試験の有無

教科書

特に指定しません.随時プリントなどを配布します.

連絡先

吉田(088-633-7294, yoshida@ph.tokushima-u.ac(no-spam).jp)