2011年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(前期)

自然と技術 / 化学と技術 -生きている化学はおもしろい-

Science and Technology / Chemistry and Technology

平成19年度以前の授業科目:『自然と技術』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『自然と技術 / 化学と技術-生きている化学はおもしろい-』

理事・和田 眞

2単位

 金(1・2) 全(全)

授業のタイプ

講義

授業の目的

化学は日常生活と深いかかわり合いをもっているが,意外と化学的な概念や知識を知らないで生活している人が多い.本講義では「生きている化学・化学技術・化学史を学びながら人間を考える」と題して,実生活において化学が果たしている役割を平易に解説し,生きた化学の香りがわかるように講義する.文科系,理科系の学生とも「化学の目」で身の回りのものを理解することは現代人として身につけなければならないことである.そして,それこそが,「持続可能な社会づくり」の第一歩と考えられる.巨大化し,複雑化した化学と人類の暮らしが,あまりにも乖離してしまった現代にあって,化学と実生活の橋渡し役すなわち通訳者となりうる講義としたい.その上で,化学を創造してきた人間の歴史・化学史を通して,学生の皆さんと共に人生を考え,対話型授業による「心底からの教育」を実践したい.

授業の概要

化学および化学技術の進歩により人類の生活は格段に豊かになり,われわれの身の回りには化学物質が溢れ,化学物質と一緒に生活をしていると言っても過言ではない.まず,身近にある化学および化学物質を取り上げ,われわれの生活との関係について述べたい.それらの化学および化学物質の発見がどのように達成されたのか,そこには発見のドラマと発見者の人間の歴史が秘められている.大発見の化学史をひもといて,化学と人間を見つめたい.その上に立って21 世紀の人類の生活と化学の役割について議論したい.

キーワード

化学,科学技術,科学史,大発見,化学と人間,人間の歴史

受講者へのメッセージ

化学を勉強してこなかった学生,化学の嫌いな学生,化学に無関心な学生にも化学の面白さや素晴らしさを伝えたい.したがって貧欲でやる気のある学生を歓迎します.学生の発表と討論を重視します.

到達目標

1.化学は暗記もので,大学入試のためにあるもの,環境汚染のもとになるもの,生活とは関係ないものなど,暗いイメージを払拭し,極めて生活に密着しており,重要な科学技術であることを認識してもらい,自分自身で化学の目を持つことを到達目標とする.その上で,大発見のドラマにふれ,将来の人生目標を考える機会となることを望みたい.

授業の計画

1.なぜ化学を学ぶのか
2.身の回りの有用化学物質と大発見のドラマ
3.2010年ノーベル化学賞受賞者・根岸英一教授の業績と人
4.2010年ノーベル化学賞受賞者・鈴木章教授の業績と人
5.1979年ノーベル化学賞受賞者・H.C.Brown教授の業績と人
6.1997年文化勲章受章者・向山光昭教授の業績と人
7.世界的人名反応・光延反応の発見者光延旺洋教授の業績と人
8.生物が作る物質を世界で初めて人工合成―ウェーラーの大発見―
9.ヘビの夢から化学構造を思いつく―ケクレの大発見―
10.18歳の少年が人類最初の合成染料を人工合成―パーキンとバイヤーの大発見―
11.世界初の合成繊維ナイロン―悲劇の天才・カロザースの大発見―
12.気体から高分子ができる―チーグラーとナッタの大発見―
13.2000年ノーベル化学賞受賞者・白川英樹教授の業績と人
14.2001年ノーベル化学賞受賞者・野依良治教授の業績と人
15.2002年ノーベル化学賞受賞者・田中耕一氏の業績と人
16.化学と人間―21 世紀の人類の生活と化学の役割―
17.総括授業

成績評価の方法

授業への取組み状況,レポート等などをもとに総合的に評価する.

再試験の有無

教科書

なし,資料を配付します.

連絡先

和田(088-656-7075, )
オフィスアワー: 前期:金曜日10時15分_ 10時45分総合科学部3号館