2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
歴史と文化 / History and Culture
日本図の歴史
教授・平井 松午 2単位 後期 火(1・2) 全(全)
様々なスケールの「地域」を研究対象とする地理学にとって,「地域」に関する資料をどのように分析し解釈するかは,重要な研究手続きとなる.この授業では,古代から近代までの各時代ごとに描かれた各種の日本図を手がかりに,国土·世界に対する日本人の地理観の一端を紹介するとともに,日本図の変遷にみる科学史的側面について歴史地理学的見地から考察していくことも目的としている.
授業では,古代から幕末·明治に至るまでの多様な日本図·絵図類を,プリント,OHP,パソコンによるデジタルデータなどを用いて紹介する.取り上げるおもな絵図·地図は,日本や世界を題材としたもので,絵図の記載内容や画像表現から,絵図作成の目的や,そこに描かれている地域像·社会背景などについて解説する.
地理学,歴史地理学,古地図,地理情報システム
歴史と文化生活と社会
絵図が作成されてきた時代ごとの社会背景と技術的発展過程の相互関係が理解できること.
1.見取図と実測図-絵図と地図の違い-
2.古代律令体制と国郡図
3.最古の日本図「行基図」-中世の日本図-
4.「行基図」と「海山潮陸図」-近世初頭の日本図-
5.「五天竺図」と「世界図屏風」-日本人の世界観-
6.幕藩体制の確立と幕府撰国絵図
7.近世阿波の国絵図-6期の国絵図-
8.国絵図と日本図総図
9.道中絵図と「改正日本輿地路程全図」-普及版日本図-
10.蘭学の発達と世界地理書の刊行
11.紅毛流規矩術と実測分間絵図
12.伊能忠敬の全国測量
13.「大日本沿海輿地全図」とシーボルト事件
14.間宮林蔵と北方図
15.三角測量と近代地図の成立
16.「日本図の歴史」授業のまとめ
教科書は使用せず,授業の際に資料プリントを配付する.なお,手近な参考図書としては次のものがある.,久武哲也·長谷川孝治編『改訂増補 地図と文化』地人書房,織田武雄『地図の歴史 日本篇』講談社新書
授業中に数回行う小テストや課題レポート,授業への取り組み状況などにもとづく平常点での評価と,期末試験結果による評価を併用して総合的に評価する.
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
平井(2116, 088-656-7159, hirai@ias.tokushima-u.ac.jp)
 オフィスアワー: 後期 火曜日 12:00-13:00 地理学(平井)研究室(総合科学部1号館中棟1階)
徳島大学附属図書館のホームページ(http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/)の「古地図·絵図(貴重資料高精細デジタルアーカイブ)」には,図書館が所蔵する各種絵図(国絵図,伊能図,世界図など)が掲載されているので,参照のこと. なお,平成15年度以前に月曜日13·14講時の「地理学·地域と地図II」を履修したもの,夜間主コースで開講している「日本図の歴史」の単位を取得したものは受講できない.