2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
生活と社会 / Living and Society
魔術から科学へ
教授・吉田 浩 2単位 前期 火(1・2) 全(全)
歴史において魔術という非合理的要素から社会と個人が解放される過程を合理化として捉え,この合理化の進展と完結の経過を研究したのは,社会学者マックス·ウェーバーであった.魔術から解放されるということが,科学的思考の前提となることはいうまでもない.しかしそれはあくまでも前提であって,それだけで即座に科学的思考が成り立つものではない.魔術からの解放としてのウェーバー合理化論の問題性を検討しつつ,魔術から区別される科学,それもより深い科学的見地はいかなるものかを検討していきたい.
ウェーバーは魔術からの解放過程を完結させたのはプロテスタントであったとみなすのだが,そのプロテスタントが行なった魔女狩りという蛮行を踏まえれば,彼らが合理化を完結したといえるのか否かを検討する.次いで,ウェーバーの科学論は一面的であり,そこからは科学の名の下に幻想的事態が産出されており,従ってそれは「魔術からの解放の再魔術化」であるということを明らかとしていく.
魔術,宗教,合理化,魔女狩り,科学,魔術からの解放の再魔術化
生活と社会生活と社会
魔術からの解放ということを大前提として,その上で合理的思惟,科学的思考に必要な諸条件を確認するのである.
1.ウェーバー合理化論の問題点の確認
2.同 上
3.合理化過程の完結者としての,また魔女狩りの遂行者としてのプロテスタントの二側面
4.同上
5.対象へ就くことと対象への就き方
6.対象を比較において捉える立場の二類型
7.同上
8.質的把握の問題点と魔術からの解放の再魔術化
9.同上
10.理解社会学と異常な非合理的体験
11.同上
12.宗教と魔術とを区別することの問題点
13.同上
14.同上
15.試験
16.総括授業
このテーマに関する私の論文をコピーしてわたす
吉田浩著『ウェーバーとヘーゲル,マルクス』(文理閣)に目を通してもらえれば幸いである
学期末試験,小レポートで総合的に評価する.学期試験(60%),小レポート(40%)
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吉田(088-656-7198, yoshida@ias.tokushima-u.ac.jp)
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社会学のみならず科学の基礎,根本の習得に意欲をもつ学生を希望する.つねに予習復習を繰返していけば,必ず新しい視野が開けてくるものと思う.