2006年度 徳島大学 共通教育 教養科目群
EDB
人間と生命 / Humanity and Life
(医)医療と倫理
教授・二宮 恒夫 2単位 前期 月(5・6) 医(保)
医療のめざましい進歩によって多大な恩恵がもたらされている一方,医療倫理に関する問題が増加している.日々の医療行為には,いつも倫理的問題が潜んでいると言っても過言ではない.倫理的問題は,患者を傷つける医療人の日々のなにげない行動や言葉から,高度な医療に伴う問題までさまざまである.種々の医療倫理に関する問題をとりあげ,医療行為を行うにあたって,倫理(正直であること),マナー(責任と思いやり)をもって患者に対応することが,医療人にとって最も基本の態度であることを学習させる.
医療現場で生じる倫理的諸問題には,正解はありえない.問題点を具体的に整理し,考える訓練を積み重ね,思考力を磨くことが大切である.医療倫理に関する諸問題への対応は,「患者の権利」と「インフォームド·コンセント(説明と同意)」の考えが基本になる.いずれも患者のオートノミー(自己決定,主体性)の尊重に基づくものであり,これらのことを教授した上で,社会的な医療倫理問題を概説する.
患者の権利,インフォームド·コンセント,医療過誤,医療のゆくえ
人間と生命人間と生命
人間と生命人間と生命
1.「患者の権利」と「インフォームド·コンセント」の本質を理解できる.
2.日常の医療行為に潜む倫理的問題を理解し,整理し,自分の考えを述べることができる.
1.患者の権利,胎児の権利―医療人の臨床における言葉の暴力―
2.インフォームド·コンセント(説明と同意)―医療人と患者の関係,パターナリズムとオートノミーの違い―
3.インフォームド·コンセント(説明と同意)―患者と共同で治療プランを作成するプロセス―
4.医療過誤―なぜ生じるのか―
5.医療過誤―情報開示と防止のためのシステム化―
6.薬害エイズ―最大の資料隠蔽事件はなぜ生じたか―
7.生殖補助技術―卵子·精子の保存,代理母の問題―
8.生殖補助技術―出生秘密の開示,体細胞クローン(クローン人間)の問題―
9.出生前診断―人はいつから人か,障害児排除につながるのか―
10.安楽死·尊厳死―延命治療をいつまで続けるか,死ぬ権利を考える―
11.脳死判定―その問題点,子どもの脳死判定はいかに―
12.メディカルネグレクト―患者の権利?―
13.遺伝子地図―病気の予防的告知の問題点―
14.人体市場―採取された血液や切除臓器のゆくえ,アインシュタインの脳―
15.試験
16.総括授業(医療のゆくえと倫理)
講義
プリントを適宜配付する.,参考書等は適宜紹介する.
学期末試験(50%),レポート(50%)により総合的に評価す.
→コンテンツサーバ (EDB/CMS)
二宮(088-633-9030, ninomiya@medsci.tokushima-u.ac.jp)
 オフィスアワー: 毎週 月曜日 17時以降 研究室(保健学科3階)
医療倫理に関し,問題意識をもって受講してほしい.