2008年度 工学部 生物工学科 夜間主コース — [必修] 4年(後期)

生物機能設計学

Medicinal Chemistry

教授・堀 均

2単位

目的

本「生物機能設計学」は,生物機能性分子としての薬物がどのように設計されるかを中心に化学構造と生物機能活性の相関を研究するメディシナルケミストリーを学修することにより所期の目的を達成する.すなわちメディシナルケミストリーはライフサイエンスの手法により解明された生物機能を,有機化学的手法および原理を駆使して設計し,より普遍的なもの(物質,分子)を生み出す創造的学問分野である.また本授業目的として,このような生物活性機能発現を目的に設計された薬物分子の分子構造と活性を分子レベルで考え,それを記述することができるようにする.

概要

生物機能設計学としてのメディシナルケミストリーの基礎的問題である分子構造と生物活性に関して,分子標的法や定量的構造活性相関(QSAR)法を学びながら修得させ,ゲノム創薬化学を考える.

キーワード

メディシナルケミストリー,ドラッグデザイン,定量的構造活性相関

要件

生物有機化学,生化学,分子生物学を履修していること.

注意

生物有機化学,生化学の教科書を参考書として用いる.また分子模型の用意.

目標

1.生物機能分子に関わる問題を有機化学原理で解決できる能力を養う.
2.生物機能分子に関わる問題を分子構造に基づいて分子レベルで研究できる能力を養う.
3.臨床試験,遺伝子治療の倫理的問題を理解する.

計画

1.生物機能設計学としてのメディシナルケミストリー
2.薬の発見と開発;バイオアッセイ,リードの探索
3.リードを見つける.天然物,構造活性相関(SAR),等価性.レポート1(到達目標1と2の一部評価)
4.ドラッグデザインと薬物代謝
5.ドラッグデザインの鍵(1)構造のFine-tuning
6.中間試験(到達目標1と2の一部評価)
7.ドラッグデザインの鍵(2)X線構造解析,分子モデリング
8.ドラッグデザイン
9.QSAR(定量的構造活性相関)(1)疎水性,電子的パラメータ,立体的パラメータ
10.QSAR(2) Hansch-Fujita式,等価体
11.QSAR(3) ケーススタディ(pyranznamine誘導体).レポート3(到達目標1と2の一部評価)
12.コンビナトリアルケミストリー
13.薬物動態学(1)
14.薬物動態学(2)
15.生命倫理
16.期末試験(全到達目標の一部評価)

評価

出席率80%以上で,到達目標各項目が各々60%以上達成されている場合をもって合格とする.達成度は到達目標各項目について中間試験(30%),レポート(40%),期末試験(30%)で評価する.

対象学生

他学科学生も履修可能

教科書

Graham L. Patrick「An Introduction to Medicinal Chemistry最新版」Oxford Univ. Press,または日本語版『メディシナルケミストリー』(北川勲,柴崎正勝,富岡清 監訳,丸善株式会社)

参考資料

David A. Williams & Thomas L. Lemke 「Foye's Principles of Medicinal Chemistry, 6th Ed」2008,Lippincott Williams & Wilkins.

C. G. Wermuth (Ed)「The Practice of Medicinal Chemistry, 2nd Ed」2003,Academic Pr.

Richard B. Siliverman 「The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, 2nd Ed」2004,Elsevier

連絡先

堀(M棟821, 088-656-7514, hori@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 月曜日11:55-12:50

備考

原則として再試験は実施しない.