日本文学基礎研究III (前期)
准教授・鳥羽 耕史
2単位
目的
1950年代は,広い意味での「記録」の時代だった.様々なルポルタージュが出版され,ルポルタージュ・アートという絵画が描かれ,記録映画が劇場公開されて多くの観客を集めた.この時代の「記録」の諸相を概観しながら,それがどんな意味を持っていたか,今日の視点でどのような可能性を見出せるかを検証する.
概要
最初のガイダンスの後,毎週,何らかのテキストを事前に読んできてもらう.授業はそれを前提として行い,出席者には積極的な発言を求める.
キーワード
文学
先行科目
関連科目
注意
ガイダンスの際に詳細なシラバスを配布するので必ず出席のこと.毎回,授業時に発言を求めるので,必ず指定されたテキストを読んだ上で授業に臨むこと.
目標
1. | 戦後文化の流れや戦後文学についての知識を深める. |
2. | 言語表現·言語分析の力を向上させる. |
計画
1. | ガイダンス |
2. | 「記録」の時代についての概論 |
3. | サークル運動と生活記録運動(1)生活綴方から生活記録へ |
4. | サークル運動と生活記録運動(2)サークル詩という記録のかたち |
5. | 記録のアヴァンギャルド(1)安部公房によるコラージュ,推理小説的ルポルタージュ |
6. | 記録のアヴァンギャルド(2)ルポルタージュ・アートの展開 |
7. | 定住作家のルポルタージュ(1)きだみのる |
8. | 定住作家のルポルタージュ(2)杉浦明平 |
9. | 文化映画,ナトコ映画,テレビの始まり(1)戦時下の文化映画からナトコ映画,岩波映画へ |
10. | 文化映画,ナトコ映画,テレビの始まり(2)テレビ・ドキュメンタリーの始まり |
11. | ダムの記録をめぐる問題(1)ダム推進の映画,絵画と反対運動のルポ,スケッチ,版画 |
12. | ダムの記録をめぐる問題(2)ダム小説をめぐる論争 |
13. | 記録は現実をどう変えたか(1)米軍基地・試射場問題,ダムの濫造と産業の隆盛 |
14. | 記録は現実をどう変えたか(2)記録認識のあり方の変容 |
15. | まとめ |
16. | レポート |
評価
出席確認を兼ねた毎回の小レポート,授業内での質疑応答(予習の確認),授業内での議論への参加,期末レポートにより総合的に評価する.
再評価
行わない.
教科書
教科書:杉浦明平『台風十三号始末記』岩波新書,1955年,819円(税込).教材としてプリントを配布する.参考書は適宜指示する.
参考資料
鳥羽耕史『運動体・安部公房』一葉社,2007年,3,150円(税込).
連絡先
鳥羽(2326, toba@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
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