2009年度 総合科学部 自然システム学科 数理·情報コース 学部課程 — 2年(後期)

数学基礎II

教授・桑原 類史

2単位

目的

「集合とその上の位相構造」は数学理論(特に,解析学)における基本的概念であり,より高度な数理構造の研究の基礎になるものである.ただし,その概念は抽象的で,初学者にはそのこころが分かりにくい. 本講義では,具体的なグラフおよび平面上のベクトル場の性質の研究を取り上げ,そこで展開される位相的なものの見方が数学研究において極めて有効であることを理解してもらうことを目的とする.

概要

本授業は,3部に分けられる.第1部では,数学の基本である集合·論理に関する復習からはじめ,位相(距離)構造からでてくる種々の基礎概念について学び,整理する.第2部では,位相幾何学の視点から,グラフ理論の初歩について講述する.第3部では,ベクトル場の指数理論を講述し,位相解析的な考察の有用性について述べる.ただし,第3部は授業の進み具合によって,内容が変更される(あるいは講義できない)可能性もある.

キーワード

論理·集合,位相,連続写像,グラフ,ベクトル場

関連科目

幾何学I

注意

高度な予備知識は必要無いが,毎時間の授業の復習が必要である.

目標

1.1. 集合,位相に関する基本的な概念(連結,開集合,近傍,距離,連続写像等)の意味することを理解する.
2.2. 位相的なものの見方が数学理論の中で有効であることを認識する.(グラフ理論の基本的定理や不動点定理の理解)

計画

1.1.集合,論理,位相,写像の基礎概念(第1週∼第5週)
2.2.グラフ理論入門(1次元トポロジー)(第6週∼第10週)
3.2-1. グラフの基礎概念
4.2-2. 握手定理
5.2-3. オイラーグラフ
6.2-4. グラフの応用
7.2-5. 平面グラフ(オイラーの定理)
8.3.平面上のベクトル場の指数(2次元トポロジー)(第11週∼第14週)
9.3-1. 平面上の連続ベクトル場,特異点
10.3-2. ベクトル場の曲線に沿う指数
11.3-3. 特異点の指数
12.3-4. 不動点定理,代数学の基本定理
13.補足(第15週)
14.総括授業(第16週)

評価

授業中に課す演習問題,レポート課題などの評価と期末試験によって評点を付ける.

再評価

有り

教科書

教科書は特に指定せず,適宜,プリントを配布する.

参考書を随時紹介する.

連絡先

桑原(総合科学部1号館2階1223号室, 088-656-7226, kuwabara@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日 15時-17時