酵素工学
Enzyme Technology
教授・辻 明彦
2単位
目的
酵素は,生体内で特定の化学反応を制御する触媒であり,多くの酵素によって複雑な代謝反応が調節されている.そのため,酵素やその阻害剤は医薬,検査用試薬としての活用が期待されている.また細菌や古細菌には,哺乳類では考えられないような化学反応を触媒する酵素も存在し,化学,食品工業や環境浄化での利用が期待されている.この講義では,酵素を化学的な改変方法ついて,基本的原理と方法論を理解させることを目的とする.
概要
前半は,酵素学の復習,医薬としての酵素と阻害剤,産業用酵素の利用について講述する.後半は,酵素の分離精製法,化学的手法を用いた改変技術,固定化酵素の利用,ペギレーション酵素の利用について,実例をあげながら説明する.
キーワード
機能改変,酵素,阻害剤,固定化酵素,ペギレーション
要件
生化学1,2,3,生体高分子学,タンパク質工学を受講していること.
注意
予習および復習を行い,学修に役立つ講義ノートを作成すること.酵素に関する英語の資料を配布するので,専門英語に親しむこと.質問は,オフィスアワーまたは講義終了後に受け付けるので,不明なままで放置しないこと.
目標
1. | 酵素およびその阻害剤の有用性について,理解する. |
2. | 酵素の化学的機能改変方法について理解する. |
計画
1. | 講義の説明と酵素工学概論 |
2. | 酵素の利用状況 |
3. | 酵素の基本的性質の復習 |
4. | 膜結合酵素としての受容体と抗がん剤の開発 |
5. | 酵素の抽出方法と精製法(熱処理,硫安分画) |
6. | 酵素のイオン交換カラムクロマトグラフィー,ゲルろ過クロマトグラフィーによる精製法 |
7. | 酵素の疎水クロマトグラフィー,アフィニティークロマトグラフィーによる精製法 |
8. | 産業用酵素と医療用酵素に要求される純度 |
9. | 中間試験(到達目標1の一部評価) |
10. | 化学的改変方法概略と固定化酵素 |
11. | 酵素の架橋反応と限定分解,糖鎖修飾 |
12. | ペギレーションによる酵素改変 |
13. | PEG化アスパラギナーゼの特性1(血中半減期の延長) |
14. | PEG化アスパラギナーゼの特性2(免疫学的性質) |
15. | 中間試験2(到達目標2の一部評価) |
16. | 期末試験(到達目標1,2一部評価) |
評価
到達目標1と2の達成度は2回の中間試験(20%X2=40%),期末試験(60%)で評価し,それぞれ24点,36点以上で合格.到達目標1,2の評価点の合計を最終成績とする.ただし,出席率80%以上(12回以上の出席)を期末試験の受験資格とする.
JABEE合格
成績評価と同じ.
JABEE関連
本学科教育目標(C),(D)に対応する.
対象学生
他学科学生も履修可能
教科書
資料を配布する
参考資料
酵素テクノロジー 上島孝之著 幸書房
酵素応用のはなし 軽部征夫著 日刊工業新聞社
化学修飾最前線(タンパク質ハイブリッド)稲田佑二ら編集 共立出版
学習に役立つWeb site: タンパク質データベースSwiss-Prot http://peds.oxfordjournals.org/cgi/reprint/10/9/985, タンパク質立体構造データバンクPDB http://www.rcsb.org/pdb/home/home.do
連絡先
- オフィスアワー: 月曜日16:20-17:50
備考
原則として再試験は実施しない.