2010年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [選択] 3年(前期)

細胞工学

Cell Technology

目的

様々な有用生体物質の生産や医療に応用される動物細胞の取り扱いや応用技術についての講義を行い,細胞工学の基礎的知識を修得する.

概要

生理活性蛋白質や抗体などの有用物質の大量生産,また遺伝子治療や細胞医薬品として用いられる細胞の性質について講述し,細胞を活用するための細胞培養法,細胞融合法,遺伝子導入法などの様々な技術についての理解も図る.また細胞を応用するに際しての生命倫理的な側面についても討議する.

キーワード

細胞,細胞培養,抗体

要件

本科目受講は生化学1,2,及び3の単位取得を前提とし,分子生物学,タンパク質工学及び細胞生物学の受講も必須とする.

注意

講義資料として配布するプリント類には英文記述も多く含まれる.従って内容を理解する必要上,専門的な英語単語の修得に努めること.本講義においては中間試験及び期末試験を行い総合評価の対象とするため,毎回の予習と復習を欠かさず行うこと.

目標

1.動植物細胞の一般的性質と細胞増殖に必須な要件,細胞の培養技術や設備について理解を深める.(授業計画1-6及び中間試験と期末試験による)
2.物質生産や医療への細胞応用技術についての理解とその倫理的問題点の理解を深める.(授業計画7-15及び中間試験と期末試験による)

計画

1.動植物細胞の基礎知識と培養細胞の一般的性質1(細胞の構造と増殖)
2.動植物細胞の基礎知識と培養細胞の一般的性質2(細胞周期)
3.細胞培養技術の基礎1(培養用器具・機器及び無菌操作)
4.細胞培養技術の基礎2(培地,血清,細胞増殖因子)
5.細胞培養技術の基礎3(バッチ培養法と連続培養法)
6.細胞株の樹立・維持・改変,及び中間試験(到達目標1の一部評価)
7.抗体産生工学1: 免疫学の基礎知識
8.抗体産生工学2: モノクローナル抗体作成法(細胞融合法,選択培養法を含む)
9.抗体産生工学3: 組換え抗体の作製法と応用
10.細胞生物学的観察手法(測定機器や原理等)
11.遺伝子マッピング法,遺伝子診断法
12.細胞医薬品や遺伝子治療への応用,人工組織やクローン技術の概論
13.培養細胞系を用いた化学物質の安全性試験法
14.グループ討論課題設定及び中間試験(到達目標2の一部評価)
15.細胞工学の展望と倫理的側面についてのグループ討論
16.期末試験(到達目標1と 2の一部評価)

評価

到達目標2項目の到達度は試験(中間30%,期末70%)で評価する.試験は項目毎に中間試験1回と期末試験1回を行う.2項目とも到達度60%以上かつ出席率80%以上を合格とする.

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(A),(C),(D)に対応する.

対象学生

開講コースと同学科の夜間主コース学生も履修可能

教科書

Lodishら著「分子細胞生物学(第5版)」(東京化学同人)と別途配布するプリントを教材として使用する.

参考資料

長宗秀明・寺田弘著「化学と生物実験ライン・単クローン抗体」廣川書店

笹月健彦翻訳「免疫生物学」南江堂

村上浩紀・菅原卓也「細胞工学概論」コロナ社

その他必要に応じて講義中に紹介する.

連絡先

生物事務室(M棟703)