2010年度 工学部 電気電子工学科 夜間主コース — [選択] 3年(前期)

半導体工学

Semiconductor Device

准教授・富永 喜久雄

2単位

目的

半導体材料やデバイスの理解を主たる目的とする.半導体中の電子·正孔のふるまいを理解するための基礎から始め,それに基づいて半導体デバイスの基礎について講述する.とくにpn接合と金属-半導体接合の理解をはかる.

概要

まず半導体を理解するために必要となる固体物理の基礎から始める. 1.半導体の電子構造:E-k図,還元ゾーン方式,有効質量,正孔の概念,通常の半導体Ge,Si,GaAsのエネルギーバンド図. 2.半導体における電気伝導:p形,n形,フェルミエネルギー,キャリア移動度,再結合,拡散距離,電気伝導度,ホール効果 3.pn接合ダイオード:PN接合理論と実際のダイオード特性について講述する. 4.半導体異種材料界面:ショットキー障壁,オーミック接触,ホモ接合とヘテロ接合

キーワード

電気電子工学,ダイオード,電子と正孔,電気伝導の物理,固定中のキャリアの振る舞い

先行科目

物性工学電子回路

要件

物性工学を履修しておくこと.

注意

クオータ制授業であるため,各回の授業内容をその都度理解してつぎに進むことが重要.オフィスアワーを積極的に利用する.

目標

1.半導体中の電子,正孔の振る舞いを定量的に理解する
2.半導体中の電子,正孔の電気伝導について定量的に理解する
3.pn接合ダイオードの動作原理を定量的に理解する

計画

1.バンド理論の概略
2.半導体中のキャリア濃度(状態密度,分布関数,真性半導体,n形半導体・p形半導体)
3.半導体中のキャリア濃度(キャリア濃度の温度依存性,フェルミ準位)
4.半導体中の電気伝導(有効質量,ドリフト電流,拡散電流)
5.半導体中の電気伝導(キャリアの熱励起,再結合,光による励起,直接遷移,間接遷移)
6.抵抗率の測定,ホール効果
7.pn接合の整流性,拡散電位,内部電界,エネルギー帯図
8.少数キャリアの注入,電流-電圧特性
9.空乏層中の電位分布,容量-電圧特性
10.光起電力効果(太陽電池)
11.ショットキー接触,エネルギー帯図の描き方
12.ショットキー接触の電流-電圧特性
13.ショットキー接触の容量-電圧特性
14.ショットキー接触の評価
15.オーミック接触
16.期末試験

評価

期末試験(60%)や各回の小テスト(40%)により評価し,全体で60%以上を合格とする.

対象学生

他学科学生も履修可能

教科書

國岡昭夫,上村喜一共著:新版基礎半導体工学ス,朝倉書店

参考資料

配布資料,古川静二郎,松村正清共著;電子デバイス[I]および[II],昭晃堂. S.M.ジィー;半導体デバイス,産業図書.

連絡先

富永(E棟2階南 A-6, 088-656-7439, tominaga@ee.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 木曜日,金曜日,pm. 17:00-18:30

備考

配布資料と教科書を併用しておこなう.一般的ではあるが,講義内容を週内で消化するようにすること.