2010年度 総合科学部 人間社会学科 アジア研究コース アジア研究サブコース 学部課程 — 2年(後期)

アジア史研究I

教授・葭森 健介

2単位

目的

先秦から唐末に至る中国の前半期の歴史についての要点を理解し,中国の歴史や社会·文化の特徴について考える力を身につける.

概要

中国の歴史は唐と宋の間で一つの区切りがあると考えられてきた.唐以前は中国の社会や文化の基礎となる部分が形成された時代であり,その歴史を正しく理解することが現代の中国を理解する鍵ともなる.そこで,中国史における血縁集団,皇帝制,地域社会という観点から中国史の前半期の歴史についてそのトピックスと研究上の問題点について分析する.

キーワード

中国史,唐宋変革,皇帝制,地域社会,家族

先行科目

人間と生命 / 東洋の知識人,アジア地域交流史

注意

日本史,中国史についての基礎知識を身につけておいて下さい.それよりも,先ず今の日本·アジアに関心を持つこと,そして皆さん自身の将来について考えるという態度で授業に臨むことを希望します.3年1回開講につき22年度·23年度は開講しません.

目標

1.中国の唐代に至る歴史を正しく理解し,そこから現代中国,また現在の日本を見る視点を養い,自らの視点を論述できる能力を身につける.

計画

1.中学·高校の歴史教科書の執筆方針とは
2.研究者は中国史をどう見ていたのか
3.中国社会の原点-家族を巡る攻防
4.皇帝支配はいかにして可能となったのか-始皇帝登場の背景
5.皇帝を巡る人間関係-劉邦は暴君か親分か
6.中央集権と地方勢力-漢の豪族とは何者か?
7.『三国志』の歴史的意義-司馬仲達にしてやられた英雄たち
8.竹林の七賢の正体-えげつなかった「清」なる人物
9.貴族に忍び寄る誘惑-銭神の魅力と脅威
10.中国における宗教の成立-お化けと仙人·仏様
11.漢民族王朝のしぶとさ-金印の謎
12.民間を取り込んだ土地制度均田制-「均」と「分」の論理
13.煬帝も玄宗のご先祖様は?-漢唐間の民族問題.
14.隋唐帝国の構造-律令制とはどんな制度か
15.期末試験
16.授業総括

評価

ほぼ毎回実施する小テストと期末テスト(筆記·論述)を総合して判断します.

再評価

特別の理由のない限り実施しません

教科書

教材はプリント配布

参考文献は授業中にふれるが取りあえず以下の本を参考に上げておきます.

『東洋の知識人』(渭陽会編,朋友書店刊,1995)

『中国思想事典』(溝口雄三他編,葭森他執筆,東京大学出版会刊,2001)

参考資料

授業中に配布する.大事に保管すること

連絡先

葭森(アジア史研究室, 088-656-7156, yosimori@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (後期) 水曜日 12時30分から13時30分

備考

3年1回開講に付き,22年度・23年度は開講しない