2010年度 総合科学教育部 地域科学専攻(博士前期課程) 博士前期課程 環境共生分野 — [選択] 1年(前期)

環境共生科学特論C

教授・松尾 義則, 准教授・渡部 稔

2単位

目的

生命の基本原理である「遺伝」現象を理解するために,メンデル以来古典的な遺伝学のアプローチが行われてきた.現在では従来の遺伝学に加え,DNA情報を基にした「逆遺伝学」も盛んに行われている.この授業では,古典的な遺伝学と現在の遺伝学の融合を図り,環境と相互作用するような遺伝子の進化や機能解析について理解することを目標とする.

概要

生命の基本原理である「遺伝」現象の解析に関し,DNA等の分子を扱う技術が最近すさまじく発展し,大きな改革の波が起こった.現在行われている最新のアプローチ法について解説する.(オムニバス方式/全16回) (松尾義則/8回) 古典的な遺伝学の手法がDNAなどの分子を扱う技術の発展と結びつき,新しい方向へとさらに発展しつつある.この講義では「分子集団遺伝学」や「量的形質の遺伝」における最近の話題を紹介する. (渡部稔/8回)特定の遺伝子の機能を調べるために使われる「Reverse Genetics:逆遺伝学」について,その理論と実践の例を取り上げ解説する.

キーワード

遺伝,遺伝子,分子集団遺伝学,量的形質,逆遺伝学

目標

1.遺伝学は社会科学分野を含むさまざまな学問分野に影響を与え,また他の分野と融合·発展してきた.古典的な遺伝学から現在の逆遺伝学まで,遺伝学がどのように発展·展開してきたかを教科書·論文の読解を通じて学習する.その中で,特に環境に適応するような進化と分子生物学とのつながりについて考察することをこの授業の目標とする.

計画

1.集団遺伝学における分子データの活用(松尾)
2.分子データの種類と違いの検出法(松尾)
3.分子の違いがもたらす表現型の変化(松尾)
4.量的形質の遺伝(松尾)
5.量的形質を決定している遺伝要因とは(松尾)
6.量的形質における環境の影響(松尾)
7.ゲノム科学と量的遺伝(松尾)
8.量的形質の進化(松尾)
9.遺伝子の構造(渡部)
10.遺伝子の発現調節(渡部)
11.遺伝子突然変異(渡部)
12.マウスにおける遺伝子ノックアウト法(渡部)
13.他の生物における遺伝子ノックアウト法(渡部)
14.RNAi法(渡部)
15.その他の逆遺伝学(渡部)
16.総括授業(渡部)

評価

授業への出席状況(60%)と,授業参加への積極性(40%).

再評価

行わず.

教科書

プリントを適宜配布.

参考資料

R.H.タマリン著(木村資生ら訳)「遺伝学(上·下)」培風館

J.F.クロー著(木村資生ら訳)「遺伝学概説」培風館

連絡先

松尾(適応進化学研究室, 656-7270, matsuo@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
渡部(088-656-7253, minoru@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)