2010年度 徳島大学 共通教育 教養科目群 — 毎年(後期)

歴史と文化 / 考古学概論Ⅱ

History and Culture / Outline of Archeology II

平成19年度以前の授業科目:『歴史と文化』

平成16年度以前 (医保は17年度以前) の授業科目:『歴史と文化 / 考古学概論Ⅱ』

准教授・中村 豊

2単位

 月(3.4) 全

授業のタイプ

講義

授業の目的

日本列島は,温暖・湿潤な照葉樹林帯に属する西南日本と,温帯落葉広葉樹林が大半を占める東部日本に分かれ,それぞれの風土に応じた多様な歴史を展開してきた.この講義では,従来の一国史的な歴史像ではなく,「風土」に着目した新たな歴史像を,考古学の成果から学ぶことを目的とする.

授業の概要

まず日本列島とそれをとりまく地域における気候や植生の特徴を把握する.次に,過去1万年間の気候変化を押さえ,日本列島内での気候・植生区分を見て,多様な生態を把握する.これをふまえた上で,旧石器時代から順に,縄文時代,弥生時代,古墳時代の順に,考古学からみた歴史像をえがいていく. 従来の生産力発展の理論に則った一国史的な歴史像を描くだけなるのではなく,人びとが,多様な生態とどのように関わりを持って来たのかをふまえた上で論じていく.なお,理解を助けるために,パワーポイントなど映像資料を用いる予定である.

キーワード

日本考古学,風土,気候変動,生態系,多様性

受講者へのメッセージ

考古学に興味のある学生なら,学部・専攻分野・文系理系にかかわらず受講を歓迎する.

到達目標

1.日本列島をとりまく気候・風土を理解する.
2.旧石器時代∼古代の日本考古学のアウトラインを理解する.
3.生産様式の発展とは異なる,人間と生態系とのかかわりの歴史を理解する.

授業の計画

1.いま,なぜ日本考古学を学ぶのか
2.東アジアの生態的特徴と日本列島
3.気候風土から日本列島のなかに多様な生態をみる
4.生産様式の発展からみた考古学的歴史像とその問題点
5.自然環境と人間とのかかわりからみた考古学的歴史像
6.旧石器・縄文時代初期の日本列島
7.縄文時代の気候変化および列島東部と列島西部の地域性
8.世界の農業からみた水田稲作
9.縄文から弥生へ1ー大陸文化の導入ー
10.縄文から弥生へ2ー社会・文化の変化ー
11.弥生時代の食生活ー本当に稲穂はゆれたのかー
12.「邪馬台国」の時代1ーその前夜ー
13.「邪馬台国」の時代2ー謎の女王卑弥呼ー
14.前方後円墳の時代
15.レポート提出
16.総括授業

成績評価の方法

授業への取り組み状況,学期末のレポートにより総合的に評価する.

再試験の有無

教科書

教科書は使用しない.適宜プリント資料を配布する.参考文献は適宜紹介する.

連絡先

中村(088-633-7224, yunaka@clin.med.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 授業後に随時,埋蔵文化財調査室(蔵本地区,看護師寮1階東側)で随時