嚥下・摂食障害学
Eating and Swallowing Disorders
形態
講義
一般目標
近年,脳血管障害者や高齢者の嚥下障害に対するリハビリテーションが注目され,多職種の医療スタッフによるチームアプローチが行われている.現在,摂食・嚥下リハビリテーションに携わる歯科衛生士はまだ少数であるが,口腔ケアの専門職という立場からチームに必須と考えられる.本授業では,将来的に摂食・嚥下リハビリテーションに携わることができるように,摂食嚥下機能法の基礎知識を習得した歯科衛生士を育成する.
授業概要
摂食・嚥下機能に関連する解剖やメカニズムなどの基礎的理論を正しく理解する.また,摂食・嚥下リハビリテーションに基礎知識を習得し,実際に機能訓練法を体験し,習得する.
関連科目
授業方法
講義形式(視聴覚素材,プリントを適宜用いる).講義の中で相互実習などの演習を一部行う.
授業場所
3年次前期 木曜2,3時限目 第5講義室
注意事項
嚥下・摂食障害学の授業では授業計画の「内容」の欄に各講義事項のキーワードを掲載している. ①受講者は各回のキーワードについて事前に予習して理解した内容を簡潔に纏めること. ②受講者は毎回受講後に学習成果を基にキーワードについて再度内容を簡潔に纏めること. また予習時の内容と復習時の内容を比較して学習成果を確認すること. ③試験は全講義数の2/3以上の出席を満たしている者に対して行う. ④予習,復習をすることが出席評価に含まれる.
行動目標 (到達目標)
1. | 摂食・嚥下障害とそのリハビリテーションの概要について説明できる. |
2. | 摂食・嚥下機能に関係する解剖的知識を理解し,説明できる. |
3. | 摂食・嚥下機能のメカニズムを理解し,説明できる. |
4. | 摂食・嚥下障害の病態と原因を理解し,説明できる. |
5. | 摂食・嚥下障害と栄養について説明できる. |
6. | 摂食・嚥下障害と誤嚥性肺炎の関係について説明できる. |
7. | 摂食・嚥下機能評価の各種検査法を理解し,説明できる. |
8. | 摂食・嚥下機能の診断・評価を学習し,説明できる. |
9. | 障害のとらえ方とアプローチの仕方を理解し,説明できる. |
10. | チームアプローチの重要性を理解し,説明できる. |
11. | 摂食・嚥下リハビリテーションとそのマネージメントを理解し,説明できる. |
12. | 摂食・嚥下リハビリテーションにおける口腔ケアの重要性を理解し,説明できる. |
13. | 間接訓練法を理解し,間接訓練法を体験,習得し,基本的手技を行うことができる. |
14. | 直接訓練法を理解し,直接訓練法を体験,習得し,基本的手技を行うことができる. |
15. | 摂食嚥下機能療法について復習し,理解を確実にする. |
授業計画
回 | 大項目 | 中項目 | 内容 | 担当 | 到達目標 |
---|---|---|---|---|---|
1. | 導入 | 摂食・嚥下の観察 | 「食べる」機能の相互観察 | 松山 | 1 |
2. | 摂食・嚥下機能の基礎知識 | 摂食・嚥下にかかわる解剖学的知識 | 解剖学的構造 | 〃 | 2 |
3. | 〃 | 摂食・嚥下機能のメカニズム | 摂食・嚥下のステージ,呼吸・喉頭の機能との関連 | 〃 | 3 |
4. | 〃 | 摂食・嚥下にかかわる機能 | 咬合と下顎運動,咀嚼運動 | 〃 | 〃 |
5. | 〃 | 摂食・嚥下障害 | 器質的障害,機能的障害 | 〃 | 4 |
6. | 〃 | 摂食・嚥下機能の発達及び発達障害 | 吸綴から咀嚼へ,乳幼児期における摂食・嚥下機能の発達障害の原因 | 有田 | 3,4 |
7. | 〃 | 摂食・嚥下障害と栄養摂取方法 | 栄養アセスメント,誤嚥と嚥下食,栄養実態,経管栄養 | 星野 | 5 |
8. | 〃 | 摂食・嚥下障害と誤嚥性肺炎 | 誤嚥性肺炎とは,実態,誤嚥性肺炎の予防,口腔ケア | 〃 | 6 |
9. | 摂食・嚥下機能の検査と診断・評価 | 嚥下機能の検査と診断・評価 | 観察,問診,触診,神経学的検査 | 松山 | 7,8 |
10. | 〃 | 〃 | スクリーニング検査(実習を含む) | 〃 | 〃 |
11. | 〃 | 〃 | VF検査 | 戸原 | 〃 |
12. | 〃 | 〃 | VE検査 | 〃 | 〃 |
13. | 〃 | 〃 | 機能評価実習 | 松山 | 8 |
14. | 摂食・嚥下リハビリテーションの基礎知識 | リハビリテーションにおける障害のとらえ方 | リハビリテーションの概念 | 羽田 | 9 |
15. | 〃 | リハビリテーションのチームアプローチ | チームアプローチ,関連する職種 | 松山 | 10 |
16. | 摂食・嚥下リハビリテーションの実際 | 摂食・嚥下リハビリテーションにおけるリスクマネージメント | 摂食・嚥下訓練法におけるリスクマネージメント(ハイリスク患者), 誤嚥窒息への対応,吸引 | 〃 | 〃 |
17. | 〃 | 口腔ケア | 摂食・嚥下リハビリテーション訓練開始前の準備,摂食・嚥下評価開始前に必要な歯科治療,口腔ケア | 星野 | 12 |
18. | 〃 | 間接訓練 | 各種間接訓練法 | 松山 | 13 |
19. | 〃 | 〃 | 間接訓練の相互実習 | 〃 | 〃 |
20. | 〃 | 直接訓練 | 嚥下の直接訓練法,嚥下食,安全姿勢,食器器具,嚥下法の選択,呼吸喀痰訓練 | 〃 | 14 |
21. | 〃 | 〃 | 直接訓練の相互実習 | 〃 | 〃 |
22. | 〃 | 摂食・嚥下機能の発達障害への対応 | 診断と機能訓練法(授乳・離乳支援) | 有田 | 9 |
23. | 各種医療職による摂食・嚥下リハビリテーション | 脳神経外科によるアプローチ | 脳血管障害者の摂食・嚥下障害への対応 | 七条 | 9,10 |
24. | 〃 | 耳鼻科によるアプローチ | 耳鼻科による対応 | 宇高 | 〃 |
25. | 〃 | 言語聴覚士によるアプローチ | 言語聴覚士による対応 | 〃 | |
26. | 〃 | 歯科衛生士によるアプローチ | 歯科衛生士による対応 | 星野 | 〃 |
27. | 〃 | 歯科医師によるアプローチ | 補綴的対応,PAP,PLPなど | 〃 | 〃 |
28-29. | 総括 | リハビリテーションプラン(演習) | リハビリテーションプランの立案,食形態の選択 | 松山,星野,藤原 | 15 |
30. | 〃 | 総合討議 | 摂食・嚥下リハビリテーションにおける歯科衛生士の展望 | 松山 | 〃 |
成績評価の方法
筆記試験を行い,成績が100点満点で60点以上のものを合格とする.
再試験
必要に応じて行う.
教科書,参考書
摂食・嚥下障害ベストナーシング, 向井美穂 編, 学研
参考資料
摂食・嚥下リハビリテーション,第2版,才藤栄一,向井美惠 監修,医歯薬出版,2007
訪問歯科診療で始める摂食,嚥下障害へのアプローチ,植松宏 監修/戸原玄 他編著,医歯薬出版,2007
摂食・嚥下障害の評価法と食事指導,金子芳洋,向井美惠,医歯薬出版,2001
WEBページ
連絡先
- オフィスアワー: 火∼木17:00∼18:00/6F口腔保健学科・第2研究室
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