2011年度 総合科学部 人間文化学科 国際文化コース 学士課程 — [選択] 3年(後期), 4年(後期)

欧米歴史・社会演習

准教授・今井 晋哉

2単位

目的

主にヨーロッパ(英・仏以外)の歴史,現代ヨーロッパの社会問題について勉強していこうとする学生諸君が,自分自身の専門研究をスタートさせつつ,それに必要な方法と基礎を習得するための演習です.3年次後期に開講されます.

概要

歴史のダイナミックな動向あるいは日常的社会現象に潜む問題を対象に,その歴史的・社会的背景,人びとの反応,あるいは権力の問題などを探求し,それを通じて現代世界や歴史に対する見方を深めてもらう.「欧米歴史・社会演習」はそのためにあるのだと思います.このようなことを念頭に,ヨーロッパ史あるいは現代ヨーロッパ社会について専門的に学習していこうとする学生諸君と一緒に勉強できればと考えています.詳しくは下記「計画」をご覧ください.なおこれまでに私が担当した卒業研究の領域とテーマは,例えば次のようなものです.これらは全て受講生が自分で選んだもので,私が特に勧めたわけではありません: 中世史(ヨーロッパの都市共同体と賤民),民族問題(ヨーロッパに流入したロマ民族に対する差別とイメージの問題,トルコのクルド人問題,旧ユーゴスラヴィアの内戦,ルワンダのツチとフツの抗争とエスニシティの政治化),国民統合(ビスマルクとドイツ統一),ナチス(青少年組織と抵抗運動,優生学と強制断種・「安楽死」,医学の犯罪・ホロコーストと戦後責任),社会主義(チェコスロヴァキアの民主化とソ連の武力介入,東独の民主化革命とキリスト教会),ドイツ現代社会(トルコ人二世・三世の統合問題,「再統一」後の極右の台頭と外国人排斥),ヨーロッパ統合(EUとイスラームの関係),現代世界(コーヒーの価格形成とフェア・トレード).

キーワード

ヨーロッパ史,現代ヨーロッパ社会,専門研究のための情報収集,卒業研究のテーマ設定

関連科目

国際関係論Ⅰ

注意

専門研究に直結する演習であり,課題も多く課されるので,自主的・積極的にとりくむこと.

目標

1.自分自身の専門研究をスタートするために必要な方法と基礎を習得すること.

計画

1.前期に引き続き,いくつかの日本語文献を共通のテキストとして,一緒に読みながら要旨を理解し,論点を確認するという作業を中心に行います.その際,重要な事象,概念,人名,地名などについては,参考図書を使って予め調べてきてもらいます.テキストは,受講者の関心を考慮に入れつつ選びたいと思います.
2.文献講読に際しては,予め各回の当番を決めますので,自分の担当する回の文献の内容を要約し,論点を整理し,調べたことをまとめたペーパーを用意してもらいます.
3.参考図書については,具体的に紹介・案内します.
4.「演習」の時間には,まず当番の人に,用意してきたペーパーにもとづいて基本的な報告をしてもらいます.続いて,報告内容について質疑応答や討論を行います.
5.また,読んだ文献の内容を要約し,論点を整理した文章を提出してもらい,それを添削する機会も設けたいと考えています.
6.4年生の「卒業研究」の中間報告を聴いて質問・コメントをしてもらう回もあります.
7.また,この後期のうちには,自分の「卒業研究」のテーマを決め,具体的に情報収集・文献講読などをスタートさせること.
8.卒業研究についてはいろいろと相談に乗りますが,テーマ自体は自由に選んで,自主的・積極的に学習を進めてほしいと思います.どのようなテーマを選ぶにしろ,自分の問題意識を大切に,視野はできるだけ広く,同時に研究対象は具体的に絞り込んで,それをできるだけ深く掘り下げる,ということを目指したいと考えます.
9.なお「演習」の時間に,あるいは卒業研究のために英語やドイツ語の文献を読むかどうかは,受講生の意欲と研究テーマによります.

評価

毎回の課題へのとりくみ方,討論への参加の程度などの観点から総合的に評価します.

再評価

場合によっては行います.

教科書

特定の教科書は用いません.

参考資料

参考資料・文献等は随時,配付または紹介します.

連絡先

今井(1319, 088-656-7139, shi-imai@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: (火)16:30-18:00