2008年度 総合科学部 学部課程 教職に関する科目 — 2年

音楽科教育法 II

教授・片岡 啓一

2単位

目的

この授業は,教職科目の教科教育法の一環として行われる.音楽教員の免許取得のための科目なので,受講者は小人数であるが,音楽科教育の理論と実践について講義することになる.受講学生には,同授業に主体的·積極的に取り組んでもらい,毎回予習内容を発表してもらうので,講義とはいってもゼミナール的な性格の強い授業であるといえる.当授業の目的と趣旨は,「音楽科教育法 I」の内容をよりどころとしつつ中等音楽科教育全般についての理論と実践についての学習を継続的に行うことであるが,学生個々人の事情に応じてこの授業を先に受講してから「I 」の授業を受講してもさしつかえない.

概要

中等音楽科教育に関する理論並びに実践についての学習.

キーワード

学校音楽教育,音楽科教育の構造,中等音楽科教育,音楽,人間形成

注意

この授業を受講する場合は,授業内容の予習·復習を地道に行ってほしい.なお,同授業は同系列のもうひとつの授業である「音楽科教育法 I」と相互に隔年にて開講する.「II」は,「I」の内容を発展させた意味合いを有しているが,学生は個々人の事情に応じて逆転受講( II→I )することもさしつかえない.なお,先行科目·関連科目はあくまでも参考程度なので,それに束縛される必要はない.

目標

1.音楽科教育については多様な発想が存在することを自覚·認識して,自分自身の教育観の土台を作るように努める.

計画

1.授業の目的と趣旨を実現するために,次のようにその内容と計画を考えたい.テキストとしては,「音楽科カリキュラムの研究-原理と展開-」(西園芳信著 音楽之友社)と「音楽教育研究の方法と分野」(山本文茂著 音楽之友社)の2冊を用いる.前者は,学校音楽教育におけるカリキュラムの問題を,深い哲学的考察に基づきつつ,具体的·実践的に論述したもので,後者は,音楽教育研究の方法と分野について理論的考察を行いながら,音楽教育学の学としての構造を探求したものである.前者は実践そのものを重視するのに対して,後者は理論そのものを実践と鋭く対立させて論述を進めており,両著者は学校音楽教育に関する考え方が相当異なっている.この両書を並行的に学習することによって,学生個人の学校音楽教育についての認識を深め,自分自身の人生観·教育観を自主的·積極的に打ち立てる意欲を起こさせることができれば幸いであると考えている.
2.1-5週目 音楽科カリキュラム研究の課題と構成·音楽科教育学研究の対象と方法·芸術的経験の特質とその教育的価値·音楽的発達における遺伝と環境,ドイツにおける音楽教育研究等についての勉強.
3.6-10週目 教育思想と音楽科カリキュラムの構成·生活中心の音楽科カリキュラム·概念中心の音楽科カリキュラム,アメリカにおける音楽教育研究等についての勉強.
4.11-16週目 人間中心の音楽科カリキュラム·「単元」及び「題材」の概念と展開·音楽科カリキュラムの今後の展望,日本における音楽教育研究·音楽教育学の確立に向けて等についての勉強.16週目は試験のかわりにレポート提出.

評価

試験は行わず,レポートを提出することによって単位を出す.レポートは提出期限を厳守すること.成績評価には,授業への取り組み姿勢などに基づく平常点も当然加味される.

再評価

行わない.

教科書

「計画」の項目のところで紹介した2冊をテキストとして使用する.両書物は,教官サイドで準備し貸与する.

連絡先

片岡(201, 088-656-7161, kataoka@ias.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 後期 木曜の昼休み

備考

平成19年度以降,この授業は原則として開講しない.