技術者•科学者の倫理
Engineering Ethics for Civil Engineers
目的
環境·エネルギー·人口の諸問題をはじめとした地球規模の問題を抱え,人類の科学技術への依存度が益々高まる中で,科学技術を担う技術者に高い倫理観が求められている.本科目では,建設事業に携わる人々とその役割に関する概説を前提に,建設技術者としての倫理観を事例や討議を通して,地球的視点から多面的に考える能カを養う.特に,建設技術が社会や自然に及ぼす影響や効果,そして建設技術者が社会に対して負っている責任について理解する.
概要
本授業は,常勤1名および非常勤講師4名の合計5名の教員によって実施される.非常勤講師による授業には集中講義もある.(1)工学倫理および土木技術者の倫理綱領について講述し,いくつかの事例に対しても講義を行い,倫理問題の考え方を理解する(滑川・則武・新田担当).(2) 建設技術者および建設作業者の働き甲斐に着目し,建設技術が抱える現在の職業的問題点について講述し,いくつかの事例に対してグループ討議を行い,倫理問題の考え方を理解する(武藤担当).(3)技術者倫理および歴史の中で公共事業と職業倫理との関係についても講述し,また,いくつかの事例に対してグループ討議を行い,倫理問題の考え方を理解する(星野担当).
キーワード
土木工学倫理,働きがい,公共事業,土木技術者の倫理規定,土木学会
先行科目
要件
技術者として自立する自覚を持つこと.
注意
必要に応じてインターネット検索により事例研究を行うので,これらの技術を習得しておくこと.また,関連授業科目である,「建設行政法」,「生産管理」,「労務管理」,「職業指導」等の受講を推奨する.予習・復習を行い,レポートは必ず期限まで提出すること.
目標
1. | 技術者が人間社会の発展と自然環境の保全に果たすべき役割と責任を理解する. |
2. | 技術が社会や自然におよぼす影響や効果についての知識を有する. |
3. | 技術者がもつべき人命尊重や環境配慮の倫理感について理解する. |
計画
1. | ガイダンス及び土木工学倫理について |
2. | 「スペースシャトルチャンレンジャー号の空中爆発事故」による事例学習:課題の説明および問題整理:レポート1 |
3. | 仕様規定型思想に基づく許容応力度法と標準の精神について |
4. | 性能照査型思想に基づく限界状態設計法とこれからの技術者の責任について:レポート2 |
5. | 建設業界における3R活動について |
6. | 建設技術者や作業者の働きがいについて |
7. | パートナーシップとは |
8. | 建設技術者の職務特性 |
9. | 失敗事例集による事例検討とステークホルダ分析 |
10. | 利益相反・リーダーシップについて事例検討:レポート3 |
11. | 徳川家康と公共事業 |
12. | 飲み水と寿命 |
13. | 地球環境 |
14. | 実業務事例に基づく倫理問題演習(グループ別討議) |
15. | 実業務事例に基づく倫理問題演習(グループ別発表と解説):レポート4 |
16. | レポートの返却および授業評価アンケートの実施 |
評価
到達目標1の達成度は,レポート1及びレポート2で評価し,評点が60%以上を到達目標1のクリア条件とする.到達目標2の達成度は,レポート3で評価し,評点が60%以上を到達目標2のクリア条件とする.到達目標3の達成度は,レポート4で評価し,評点が60%以上を到達目標3のクリア条件とする.3つの到達目標をクリアした場合を合格として,成績は,到達目標1と到達目標2と到達目標3の評点の平均値として算出する.
JABEE合格
[成績評価] 同一とする.
JABEE関連
本学科の教育目標の1(1)に40%,1(2)に30%,1(3)に30%対応する.
対象学生
開講コース学生のみ履修可能
教科書
土木学会土木教育委員会倫理教育小委員会編『:土木技術者の倫理事例分析を中心として』丸善,1200 円
参考資料
「学びの技」はじめの一歩(徳島大学工学部導入部教育テキスト)
連絡先
- オフィスアワー: オフィスアワー:年度ごとに学科の掲示を参照すること
備考
授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習をしたうえで授業を受けることが,授業の理解単位取得のために必要である.