2011年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [選択] 3年(前期)

生物物理化学2

Biophysical Chemistry 2

教授・松木 均

2単位

目的

細胞膜の構造や生体内反応を理解するための基礎となる界面現象·電解質溶液論の初歩を履修し,生命現象が分子やイオンのレベルで理解できるよう基礎知識を修得させる.

概要

電解質溶液の基本的概念と電極反応の取り扱い方について講述する.さらに界面現象とコロイド溶液の性質についても述べる.本講義の前半部分では,電解質溶液の性質とその熱力学的取り扱いを述べ,電池の概念について説明する.後半部分では,電極電位に基づき,幾つかの電気化学的現象を解説する.次に界面において成立する熱力学関係式を導出し,吸着や会合体形成などの界面が関与する物理化学的現象について事例を挙げて説明する.

キーワード

イオン溶液,電極論,コロイドと界面

要件

物理化学1,2の履修を前提として講義する.

注意

講義中に理解度確認のため2回の中間試験を行うので,予習と復習をしっかり行うこと.

目標

1.電解質溶液の基本的概念と電極反応の熱力学的取り扱い方を理解する.
2.界面現象とコロイド溶液の性質について理解を深める.

計画

1.分子の運動(1)液体中の分子運動1(モル電導率,イオン独立移動の法則,弱電解質)
2.分子の運動(2)液体中の分子運動2(イオンの移動度,輸率)
3.単純な混合物(1)活量1(溶液中のイオンの活量,平均活量係数)
4.単純な混合物(2)活量2(イオン強度,Debye-Hückelの理論)
5.化学平衡(1)平衡電気化学1(半反応と電極),中間試験1(到達目標1の一部評価)
6.化学平衡(2)平衡電気化学2(ガルバニ電池,電池の種類)
7.化学平衡(3)平衡電気化学3(起電力,Nernstの式)
8.化学平衡(4)平衡電気化学4(標準電位,標準電位の応用)
9.化学平衡(5)平衡電気化学5(溶解度積,濃淡電池,浸透膜平衡)
10.分子間相互作用(1)気体と液体1(コロイド状態),中間試験2(到達目標2の一部評価)
11.分子間相互作用(2)気体と液体2(平面・曲面の表面張力,毛管作用)
12.高分子と分子集団(1)自己組織化1(Kelvinの式,溶液の表面張力)
13.高分子と分子集団(2)自己組織化2(界面の熱力学取り扱い)
14.高分子と分子集団(3)自己組織化3(単分子膜,物理吸着と化学吸着,Langmuirの吸着等温式)
15.高分子と分子集団(4)自己組織化4(分子会合体(ミセル,ベシクル),構造と安定性)
16.期末試験(到達目標全ての一部評価)

評価

出席率80%以上で,到達目標2項目が各々60%以上達成されている場合をもって合格とする.達成度は中間試験(50%),期末試験(50%)で評価する(出席点は加えない).

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(C),(D)に対応する.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

P. W. アトキンス著(千原秀昭・稲葉 章訳)「物理化学(上)6,10章」「物理化学(下)23,24章」東京化学同人

参考資料

W. J. ムーア著(藤代亮一訳)「物理化学(上)」「物理化学(下)」東京化学同人

A.R.デロナ著/本多健一訳「基礎電気化学」東京化学同人

玉虫伶太著「電気化学第2版」東京化学同人

八田一郎•村田昌之編「生体膜のダイナミクス」共立出版

連絡先

松木(化生棟607, 088-656-7513, matsuki@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日 16:20-17:50

備考

1.授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習をしたうえで授業を受けることが,授業の理解と単位取得のために必要である.
2.到達目標1は授業計画1-9に,到達目標2は授業計画10-15に関係する.