2011年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [必修] 2年(前期)

物理化学2

Physical Chemistry 2

講師・玉井 伸岳

2単位

目的

物質の状態に関する重要な物理化学の基礎的事項,相平衡と溶液について化学熱力学を中心にして講義を行い,それらの基本的な概念を学習する.

概要

閉鎖系の熱力学関係式を開放系に拡張し,重要な熱力学量である化学ポテンシャルについて講述する.さらに化学ポテンシャルの平衡式を溶液系に適用し,物理化学諸量を導出する.本講義の1∼4回では,一成分(純物質)系の状態図並びに相平衡を説明し,相平衡の条件や相平衡で成立する熱力学関係式を導出する.5∼10回では,多成分系の取り扱い方を論じ,二成分系の典型例である溶液についてその理想性および束一的性質について講述する.11∼15回では,二成分溶液の様々な相図 (気体-液体,固体-液体,液体-液体間の相平衡)を取り上げ,その解釈について講述する.

キーワード

化学ポテンシャル,相平衡,部分モル量,相図,束一的性質

先行科目

物理化学1

要件

物理化学1の履修を前提として講義する.

注意

講義中に理解度確認のため2回の中間試験を行う. 授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に 2時間の予習と2時間の復習をしたうえで授業を受けることが, 授業の理解と単位取得のために必要である.

目標

1.化学ポテンシャルの概念と一成分(純物質)系の相平衡を理解する.
2.多成分系の熱力学的取り扱い,理想溶液と理想希薄溶液,溶液の束一的性質を理解する.

計画

1.純物質の物理的な変態(1)化学熱力学の復習
2.純物質の物理的な変態(2)相の安定性と化学ポテンシャル,相図の典型例
3.純物質の物理的な変態(3)相の安定性におよぼす温度・圧力の影響
4.純物質の物理的な変態(4)相境界の位置と勾配,相転移の分類
5.中間試験1(到達目標1の一部評価); 単純な混合物(1)部分モル量,化学ポテンシャル
6.単純な混合物(2) Gibbs-Duhemの式,混合の熱力学
7.単純な混合物(3)理想溶液と理想希薄溶液
8.単純な混合物(4)Raoultの法則,Henryの法則
9.単純な混合物(5)束一的性質1
10.単純な混合物(6) 束一的性質2,実在溶液と活量
11.中間試験2(到達目標2の一部評価); 相図(1)相,成分,自由度,相律
12.相図(2)蒸気圧図,図の解釈,てこの規則
13.相図(3)温度-組成図,蒸留,共沸混合物
14.相図(4)液体-液体の相図,相分離
15.相図(5)液体-固体の相図,共融混合物
16.期末試験(到達目標全ての一部評価)

評価

出席率80%以上で,到達目標2項目が各々60%以上達成されている場合をもって合格とする.達成度は中間試験(50%),期末試験(50%)で評価する(出席点は加えない).

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(C),(D)に対応する.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

P. W. Atkins著(千原秀昭・中村亘男訳)「アトキンス物理化学(上)6 ~ 8章」東京化学同人

参考資料

R. A. アルバーティ著/妹尾 学·黒田晴雄訳「物理化学(上)」東京化学同人

D.エベレット著/玉虫伶太·佐藤弦訳「入門化学熱力学第2版」東京化学同人

連絡先

玉井(化学·生物棟609号室, 088-656-7520, tamai@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 水曜日 16:20-17:50

備考

授業計画1-5が到達目標1に対応し,到達度は中間試験1および期末試験の成績により評価する.授業計画6-15が到達目標2に対応し,到達度は中間試験2および期末試験の成績により評価する.