2011年度 工学部 生物工学科 昼間コース — [必修] 1年(後期)

物理化学1

Physical Chemistry 1

教授・松木 均

2単位

目的

エネルギー論の基礎となる熱力学第一法則および第二法則を理解し,状態変化や化学反応に伴う熱力学状態関数の変化量が計算できる能力を修得させる.

概要

化学熱力学は,物理的変化や化学的変化を対象とした普遍的なエネルギー論である.自然界の現象を理解し記述する化学熱力学入門について講述する.本講義の前半部分では,理想および実在気体について論じた後,熱力学第一法則および第二法則について解説する.後半部分では,熱力学状態関数について説明し,閉鎖系の熱力学関係式を導出する.さらに熱力学第三法則,気体分子運動論についても説明する.

キーワード

理想気体,化学熱力学,分子運動論

要件

簡単な微分学,積分学を必要とする.対数,指数計算の可能な関数キー付き電卓を使用する.

注意

講義中に理解度確認のため2回の中間試験を行うので,予習と復習をしっかり行うこと.

目標

1.気体の性質と分子運動論の取り扱いを理解する.
2.熱力学第一法則および第二法則の概念を理解し,熱力学変化量を計算できる.
3.エネルギー問題に関して技術者倫理を認識する.

計画

1.はじめに(科学の構造,もの,エネルギー)
2.気体の性質(1)状態方程式(完全気体,混合気体)
3.気体の性質(2)気体分子運動論モデル(平均速度,分子の衝突)
4.気体の性質(3)実在気体(van der Waalsの状態方程式,対応状態の原理,フガシティー)
5.第一法則:概念(1)基本的概念(系と外界,第一法則,膨張の仕事)
6.第一法則:概念(2)仕事と熱1(完全微分と不完全微分),中間試験1(到達目標1および2の一部評価)
7.第一法則:概念(3)仕事と熱2(熱のやりとり,エンタルピー)
8.第一法則:概念(4)仕事と熱3(熱容量の差,断熱変化)
9.第一法則:熱化学(標準生成エンタルピー,反応エンタルピーの温度依存性)
10.第一法則:状態関数と完全微分(内部エネルギー変化,ジュール・トムソン効果)
11.第二法則:自発変化の方向(1)(エントロピー,Carnotサイクル)
12.第二法則:自発変化の方向(2)(Clausiusの不等式),中間試験2(到達目標2の一部評価)
13.第二法則:自発変化の方向(3)(いろいろな過程のエントロピー変化,熱力学第三法則)
14.第二法則:系に注目する(HelmholtzおよびGibbsエネルギー,閉鎖系の基本式)
15.第二法則:第一,二法則の結合(Maxwellの関係式),物理化学の生命倫理的問題
16.期末試験(到達目標全ての一部評価)

評価

出席率80%以上で,到達目標3項目が各々60%以上達成されている場合をもって合格とする.到達目標1および2の達成度は中間試験(50%),期末試験(50%)で評価し,到達目標3の達成度はレポートなど(100%)で評価する(出席点は加えない).

JABEE合格

成績評価と同じ.

JABEE関連

本学科教育目標(A),(C),(D)に対応する.

対象学生

開講コース学生のみ履修可能

教科書

P. W. アトキンス著(千原秀昭・稲葉 章訳)「物理化学(上)1-5章」東京化学同人

参考資料

W. J. ムーア著(藤代亮一訳)「物理化学(上)」東京化学同人

D.エベレット著(玉虫伶太•佐藤 弦訳)「入門化学熱力学 第2版」東京化学同人

杉本泰治•高城重厚著「技術者の倫理 入門」丸善

連絡先

松木(化生棟607, 088-656-7513, matsuki@bio.tokushima-u.ac(no-spam).jp)
オフィスアワー: 金曜日 16:20-17:50

備考

1.授業を受ける際には,2時間の授業時間毎に2時間の予習と2時間の復習をしたうえで授業を受けることが,授業の理解と単位取得のために必要である.
2.到達目標1は授業計画2,3,4に, 到達目標2は授業計画5-15に, 到達目標3は全ての授業計画に関係する.