ヨーロッパ史特論I
教授・佐久間 亮
2単位
目的
この講義は担当者が専門とする研究テーマについて論述し,大学における歴史研究とはどのようなものであるかを体感してもらうことを目的に開講されるものである.予定されているテーマは,近年歴史学でも取り上げられるようになってきた「環境史」である.イギリス人が自然の限界を深刻に認識しはじめた19世紀以降を中心に,自然保護運動の歴史を論じることにする.ただし,自然の限界に直面して,その結果として,保護思想が出現,敷衍され,それがさらに保護運動へつながっていくというような予定調和的な歴史の見方はここではしない.むしろ,保護主義とは一見無縁にみえる諸イデオロギー·運動の絡まりあいの中から,自然環境保護の現代的な運動が生まれてくる様子を,英領南アフリカを舞台として検討する.地球規模での自然·環境保護が重要な課題になっている現在,19世紀の時点で地域·国家の規模を越えた環境保護に乗り出した英帝国の経験は,その背景にあるイデオロギーや目的が現代のそれとは大きく異なるとはいえ,充分検討に値するものである.前半の5回を背景説明のための講義にあて,残りを関連英論文の輪読にあてる.
概要
イギリス帝国と自然環境保護の試み
キーワード
自然保護運動,イギリス帝国,野生動物保全,国立公園,文化衝突
注意
本講義は,偶数年に開講される.
目標
1. | ·現代の事象を理解する上で,歴史的パースペクティブの重要性を認識する |
2. | ·英語の研究論文読解の基礎力を培う |
計画
1. | ジェントルマンと狩猟(1) |
2. | ジェントルマンと狩猟(2) |
3. | ジェントルマン支配の動揺とハンティング熱のグローバル化 |
4. | ボーア人の南アフリカ |
5. | 南アフリカの野生動物の危機? |
6. | 英語論文輪読(1) |
7. | 英語論文輪読(2) |
8. | 英語論文輪読(3) |
9. | 英語論文輪読(4) |
10. | 英語論文輪読(5) |
11. | 英語論文輪読(6) |
12. | 英語論文輪読(7) |
13. | 英語論文輪読(8) |
14. | 英語論文輪読(9) |
15. | 期末テスト |
16. | 総括授業 |
評価
期末試験の結果によって評価をおこなう.
再評価
行わない
教科書
教科書は使用せず,前半5回は授業中に配布するプリントを中心に講義,残りは英語論文の輪読を中心にすすめる.
連絡先
- オフィスアワー: 火曜12時∼13時